第39話 空からの奇襲
外に出ると、状況は一変としていた。
「こ、これは一体……」
空を見上げると、隕石とは違う何かが、地表に向かって降り立ってきていた。
「あれは……機械？ まさか、例の……」
『……いえ、アレよりも一回り小さい……私もアレは見たことがありませんが、見た目的には、そこまで強力ではなさそうですね』
地表に降り立とうとしている機械、それは、この世界における工作機械に近かった。
『なるほど……どうやらアルネブ達はやり方を変えて来たみたいですね』
「やり方？」
『今までは疲弊したところを巨大兵器で一網打尽にするやり方が多かったのですが、今回は中々疲弊しなかったためか、さらに疲弊させようとしているみたいです』
『なるほど……これは評価されているってことか、嬉しくはないがな』
5人が空を見上げるのもつかの間、機械たちは一期ずつ地表へと降り立ってきた。
「よぉーし！ 被害が大きくなる前にぶっ倒してやろうよ！」
『ヴェラ……中々物騒なこと言うねぇ』
『まぁでも、確かにそうだな！ やってやろうぜ！』
『会長さんの言う通り！ やってやりましょう！』
『しょうがないな！ 僕も！』
一行は、降り立ってきた機械に目掛けて散り散りになった。
「よーし！ 私はあいつ！」
地竜型の機械を操るヴェラは、侵略者に目掛けて突進を始めていた。
地竜は4本足で地ならしをしながら近づいていき、アルネブの機械に目掛けて前足を振りかぶった。
機械は吹っ飛ばされ、地面に叩いつけられたのと同時に、爆発四散した。
一方で、ポラリスの操作する熊の機械。
「クソ……僕は設計専門で、操縦は苦手分野なのに！」
機械の操作に苦戦し、思うように動かすことができなかった。
四の五のしている間に、アルネブの機械が襲い掛かろうとしていた。
「おおおおおお！？ く、来るな！！」
熊は咄嗟に爪を立て、機械を吹っ飛ばした。
「おお、いい子だ、じゃあそのまま……うおおおおおおお！？」
熊はまるで自分の意思を持ったかのように動き出し、アルネブの機械を踏みつぶした。
機械は、爆発し、跡形もなくなった。
「おお……よしよし……」
ポラリスは、頭の代わりに、魔法版を撫でた。
☆
またその一方、メリクとアルタイル。
「全く……亀だからか凄い鈍足だね！ この子！」
『どれ、俺が運ぶよ！』
アルタイルの操作する鷲の機械が、メリクの操作する亀の機械の甲羅の部分を掴み取った。
まるで獲物を捕まえたかのようにそれを運んだ。
「目的はあいつだね！ アル！ 落としな！」
『ええ！？ 落とす！？』
「良いから早くしな！」
『わ、わかったよ……』
メリクの怒号に負けたアルタイルは、その爪で掴んでいた亀の機械を離した。
メリクの操縦する亀の機械は、アルタイルの操作する鷲の機械の爪から離れ、自由落下していった。
「さぁ！ ぶっ潰れな！」
メリクは空気抵抗を己の操作で調整していき……アルネブの機械は踏みつぶされた。
『おい！ 大丈夫か！？』
アルタイルの視点から見たメリクの様子は、爆風に巻き込まれ、姿が見えなかった。
アルタイルは必死に声を荒げた……その叫びは、すぐに届いた。
「なんだいうるさいなぁ……そんな大声出さなくても聞こえてるよ」
『ぶ、無事なのか！？』
「当たり前だろ？ アタシの操作する機械は亀だよ？ そう簡単に傷つかないよ」
『そ、そうか……まぁ、そうだよな……』
アルタイルは、機械の頑丈さに安堵した。
「……ていうかアンタ！ 早く回収しないかい！」
『お、おう！』
アルタイルの操作する鷲の機械は、獲物を発見したかのように、亀の甲羅に掴みかかった。
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