第40話 宇宙へ

 機械の侵攻を瞬く間に殲滅させた一行は、広めの場所で合流した。


『ではみなさん! 宇宙へ行く準備は良いですか!?』

『ほ、本当に行くのか……大丈夫かなぁ?』

『アンタ! 何自信ないこと言ってるんだい!』

『会長、僕たちが設計した機械です、自信を持ちましょう!』

『う、うーん……』

「ポーちゃんの言う通りですよかいちょー! ここまで奴らの機械を倒したじゃないですか! 行けますよ!」

『そ、そうだよな! よ、よし! やってやろうじゃないの!』


 女性陣の激励により、それまで弱腰だったアルタイルは、腹をくくった。


「よーし! じゃあみんな! 合体しよ!」


 一行は魔法版に手を翳し、合体準備に入った。

 レプスの操作する兎人の機械が腕と脚を収納し、宙に浮いた状態になった。

 ヴェラの操作する地竜が両脚に変形し、ポラリスとメリクの操作する熊と亀がそれぞれ腕となった。

 そしてあるタイツの操作する鷲は頭と足を収納し、ほぼ羽根だけの状態になった。


『みなさん! 息を合わせて! 合体しますよ!』


 兎人の機械から稲妻のような光が放たれ、まるで磁石のようにゆっくりと4つの機械を吸い寄せ……けたたましい音と共に、5つの機械は一つとなった。

 5人の操縦席は移動を始め、一か所へと集まった。

 そこはサーバールームのような場所で、5人の目の前には、機械の全面展望が映し出されていた。


「やったぁ! 成功だね!」

「僕たちが作ったんだ、成功して当たり前だろ?」

「ふぅ……緊張した……」

「なんとか成功だね」

「やりましたね! みなさん!」


 5人は顔を合わせ、合体の成功を讃え合った。


「それじゃあ行こう! 宇宙へ! 奴らをぶっ倒そう!」

「そうですね! 細切れにしてやりましょう!」

「おいおい、物騒なこと言うねぇ、2人とも」

「ま、言ってることは間違いではないね! さっさと行こうじゃないかい!」

「宇宙へって、空気とか大丈夫なのか!?」

「ポーちゃん! 安心して! その辺も調整してるからさ!」

「調整ってうおおお!?」


 ヴェラの操縦により、機械は宇宙に向けて羽を伸ばした。

 機械は一気に大気圏を抜け、青空は徐々に黒に染まっていき、まだ昼にもかかわらず、星空が見えてきた。


「おおおおおお!? ここが宇宙!?」

「は、初めてだ……」

「ここが宇宙か……なんか怖いなぁ……」

「アンタいっつも怖がってるねぇ」


 レプスを除いた4人は、宇宙を見るのは初めてだった。

 4人の目で見る宇宙は、黒く輝く宝石のようだった。

 ……しかし、そんな宝石の中にも、汚れが一つ。


「……あれは」

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