ラビット・インベーダー~実家を勘当された元辺境伯令嬢、兎耳美少女と世界を救う~

立風館幻夢

プロローグ

「おお……凄い……」

「凄いって、君が設計したんだろ? 『ヴェラ』」

「あ、そうだったぁ」


 とある異世界の格納庫……そこには、6体の鋼鉄の巨大な動物たちが、肩を並べて座っていた。

 小柄な女が、それらを見て圧巻していた……そう、自分の設計した機械に。


「皆さん! 準備は良いですか!」

「うん! 『レプちゃん』も準備オーケー?」

「もちろんです!」


 敬語口調で話す兎耳の少女の号令に、その場にいる者たちは、死闘に燃えた……一人以外は。


「ほ、本当に行くんだね……ちょっと俺、緊張しちゃうなぁ」

「アンタ、ここまで来て何言ってるんだい!」

「あ、ごめんよ……でも、怖くてさ……」

「怖いのはアタシも同じだよ! 全く……なんでこんな男がアタシの夫なんだか……ま、そこに惚れたんだけどさ」


 男の気弱な言葉に、妻である女は呆れた声を上げた。


 「じゃあみんな! 行こう! 『この世界を救いに!』」


 5体の機械に目掛けて、一行は歩き始めた……世界を救うという目的の為に。

 操縦者である5人は、性格も年齢も何もかも嚙み合っていなかったが、目的は一緒だった。

 兎耳の少女は小柄な女に手を握られ、自分の動かす機械に目掛けて脚を動かしていたのだが……その足取りは、重りが乗っているかのように重かった。


「レプちゃん、やっぱり怖い?」

「はい……お恥ずかしながら……」

「そりゃそうだよね……『同族が相手』なら、誰だって躊躇するよ……やっぱりやめる?」


 ……女の言葉に、兎耳の少女は大きく頭を横に振った。


「……いえ! これも『故郷のため』! 例えダメでも……やってみます!」

「……うん!」


 ……何故、彼らはこれから散る運命になるかもしれないにもかかわらず、自らその道を行くのか……そこには、深い経緯があった。

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