第32話 2人がかりで修正

 そして、作業を行うという事は、その分壁も存在する。

 それを修正するのは、勿論、ヴェラの役目だ。


「えーっと……ここはこうで……きゃあ!?」


 ヴェラは修正に追われるも、めげずに作業を続けた。

 いつものように、障害ができたらその都度修正し、また出てきたら修正するの繰り返し……今回は大掛かりなこともあって、いつも以上に大変だった。

 今まで経験したことのない大きな機械、それも5つ……ヴェラは

それでも、諦めずに修正作業を続けていた。

 そして、修正作業をしているのはヴェラだけではなかった。


「ヴェラさん、ここはどうすれば……」

「あー、レプちゃん、ここはね……」


 レプスはヴェラに修正作業の手順を教わり、手伝いをしていた。

 レプスは飲み込みが早く、教わるとまるで経験していたかのように手を動かした。


「すごいねレプちゃん! もう職人さんみたいだよ!」

「そ、そんなぁ……ヴェラさんの教え方が美味いからですよぉ……」


 ヴェラの修正技術は、プロであるヴェラですらも驚愕する腕前にまで進化をしていた。

 2人がかりで5つの機械を並行して修正し……それらは完成形へと近づいていた。


「はぁ……はぁ……」


 ……しかし、やはり体力にも限界はあった。

 ヴェラは既に徹夜を続けて眠気にも襲われている……この数日間で、眠りについたのはほんの数時間……。

 途中で設計図を枕代わりに眠りについてしまう事もあった。


「ヴェラさん、大丈夫ですか? 少し休んだ方が……」


 ……ヴェラを心配するレプスだったが、彼女も境遇は似たようなものだった。

 …‥ヴェラは自らの頬を叩き、意識を整えた。


「……いや! かいちょーやふくかいちょー、ポーちゃんや作業員の皆さんだって頑張ってるんだもん! 私が修正しなきゃ、完成しないし!」

「あ、あまり無理しないでくださいね?」

「レプちゃんもね!」


 2人は拳を合わせ、お互いの意思を尊重し合った。

 この機械を完成し、この星を救う……そんな思いをぶつけるかのように。

 2人は集中力を取り戻し、設計図と睨めっこを再開した。

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