第31話 動く陰謀と人々の行動
<……閣下、よろしいですか?>
<……なんだ?>
<頂上作戦ですが、どうやら押されている模様です>
<……そうか>
……船の中、ひときわ目立つ軍服姿の女……アルネブは、報告を聞き、素気のない返事をした。
<……仕方がない、巨大化の準備を早めるとしよう……変形完了までどれくらいかかる?>
<早ければ1週間です>
<よし……奴らの軍隊も中々にやるようではあるが……何か対策は?>
<……はい、戦闘用に改造した工作用機械、そいつらを向かわせる作戦があります>
<いいだろう、その作戦、実行しろ>
<……かしこまりました>
指示を聞いた部下は、闇の中へと消えていった。
<……母星にはもう戻ることはできぬ、ならばこの星を……新たな母星に……>
……アルネブは、青く輝く星を見て、決意をした。
☆
……隕石騒動から夜が明け、次の日。
人々は復旧作業に入り、倒壊した建物の修復、亡くなった人々の遺体の処理などが始まった。
家を失い、家族を失い、そして友人を失っても、それでも人々は前を向いて、復旧作業に明け暮れていた。
……そんな中、貴族の前で頭を下げる女が一人。
「お願いいたします! 伯爵閣下! どうか私共の要望に応えてはくださいませんでしょうか!?」
「い、いやぁ……いきなりそんなことおっしゃられても……」
……メリクは、日が昇るや否や、貴族家、他の商会へと足を運び、「機械作りの場所と人員の確保」のお願いをするため、頭を下げ続けた。
……多くの場合は突っぱねられ、時には門前払いをされることもあった。
しかし、メリクは諦めず、頭を下げ続けていた。
「……わかりました、ピクシス商会さんにはお世話になっていますから、今回は協力しましょう」
「……本当ですか!? ありがとうございます!! ありがとうございます!!」
……それが功をなしたのか、少数ながらも、了承してくれる貴族、商会も出てきた。
そして、頭を下げているのは、メリクだけではなかった。
「お願いします! どうしても協力していただきたいのです!!」
……会長である、アルタイルも、メリクと同じように、頭を下げた。
会長であるアルタイルが頭を下げることにより、多くの相手は、そのプライドを捨てた行動に折れることが多かった。
2人が足を運び、頭を下げる中、ポラリスは……。
「お前ら!! 時間は待ってくれないからな!! できるだけ早く! それと安全に作業するんだ!!」
ピクシス商会の格納庫、ポラリスは作業員に指示しながら、機械の開発を進めていた。
ピクシス商会で作っているのは、合体の要となる、兎人の機械だ。
これを作り始める前、作業員たちは困惑の声を上げていた。
「しかし、チーフ、なぜ突然こんな機械を?」
今回作る機械は従業員たちにとっては、何のために作るのか疑問だった
商会のためなのか、はたまた自分たちの為になるのか……作業員たちは不安でいっぱいだった。
しかしポラリスは、真剣な眼差しで、作業員たちに訴えた。
「……今は詳しく言えないが、今後の為に必要なものだ!」
「はぁ……」
「さ、口よりも手を動かしな! 何かあったら僕が助太刀するからな!」
ポラリスの指示に、作業員たちは意気投合し、作業に取り掛かったのだった。
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