第31話 動く陰謀と人々の行動

<……閣下、よろしいですか?>

<……なんだ?>

<頂上作戦ですが、どうやら押されている模様です>

<……そうか>


 ……船の中、ひときわ目立つ軍服姿の女……アルネブは、報告を聞き、素気のない返事をした。


<……仕方がない、巨大化の準備を早めるとしよう……変形完了までどれくらいかかる?>

<早ければ1週間です>

<よし……奴らの軍隊も中々にやるようではあるが……何か対策は?>

<……はい、戦闘用に改造した工作用機械、そいつらを向かわせる作戦があります>

<いいだろう、その作戦、実行しろ>

<……かしこまりました>


 指示を聞いた部下は、闇の中へと消えていった。


<……母星にはもう戻ることはできぬ、ならばこの星を……新たな母星に……>


 ……アルネブは、青く輝く星を見て、決意をした。



 ……隕石騒動から夜が明け、次の日。

 人々は復旧作業に入り、倒壊した建物の修復、亡くなった人々の遺体の処理などが始まった。

 家を失い、家族を失い、そして友人を失っても、それでも人々は前を向いて、復旧作業に明け暮れていた。

 ……そんな中、貴族の前で頭を下げる女が一人。


「お願いいたします! 伯爵閣下! どうか私共の要望に応えてはくださいませんでしょうか!?」

「い、いやぁ……いきなりそんなことおっしゃられても……」


 ……メリクは、日が昇るや否や、貴族家、他の商会へと足を運び、「機械作りの場所と人員の確保」のお願いをするため、頭を下げ続けた。

 ……多くの場合は突っぱねられ、時には門前払いをされることもあった。

 しかし、メリクは諦めず、頭を下げ続けていた。


「……わかりました、ピクシス商会さんにはお世話になっていますから、今回は協力しましょう」

「……本当ですか!? ありがとうございます!! ありがとうございます!!」


 ……それが功をなしたのか、少数ながらも、了承してくれる貴族、商会も出てきた。

 そして、頭を下げているのは、メリクだけではなかった。


「お願いします! どうしても協力していただきたいのです!!」


 ……会長である、アルタイルも、メリクと同じように、頭を下げた。

 会長であるアルタイルが頭を下げることにより、多くの相手は、そのプライドを捨てた行動に折れることが多かった。

 2人が足を運び、頭を下げる中、ポラリスは……。


「お前ら!! 時間は待ってくれないからな!! できるだけ早く! それと安全に作業するんだ!!」


 ピクシス商会の格納庫、ポラリスは作業員に指示しながら、機械の開発を進めていた。

 ピクシス商会で作っているのは、合体の要となる、兎人の機械だ。

 これを作り始める前、作業員たちは困惑の声を上げていた。


「しかし、チーフ、なぜ突然こんな機械を?」


 今回作る機械は従業員たちにとっては、何のために作るのか疑問だった

 商会のためなのか、はたまた自分たちの為になるのか……作業員たちは不安でいっぱいだった。

 しかしポラリスは、真剣な眼差しで、作業員たちに訴えた。


「……今は詳しく言えないが、今後の為に必要なものだ!」

「はぁ……」

「さ、口よりも手を動かしな! 何かあったら僕が助太刀するからな!」


 ポラリスの指示に、作業員たちは意気投合し、作業に取り掛かったのだった。

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