第37話 完成

 その後も、機械の開発は続いていた……ヴェラとレプスは、修正作業を続け、ポラリスは各地の作業場で監督を続け、メリクとアルタイルは、頭を下げ続け、資金集めに奮闘していた。

 そんな日々が、数日にわたり続いた。

 その道のりはかなり長かった……まるで山脈のような険しい山道のように。

 そんな日々が過ぎていき……機械は完成した。


「やった……やったぞ!!」

「やっとできたぁ~」

「みんなお疲れさん」

「す、すごいです!!」


 商会の一同の目の前には、兎耳の生えた人間の戦士をかたどった機械が立っていた。

 作業員たちはやり切った表情を見せ、お互いを讃えるように握手をしていた。


「あとは、アルが残りの機械を持ってくるみたいだけど……」

「かいちょーがこの機械見たら、ものすごく驚くだろうなぁ……」


 4人がアルタイルの帰りを待ちつつ、お互いを讃え合う中……大きな足音が、格納庫の外から鳴り響いてきた。

 4人は何かを察し、格納庫の外へと出た。

 外にいたのは……鷲型の機械だった。

 そしてその後ろには、地竜、熊、亀の姿をした巨大な兵器たちだった。


「おおお……これは……」

「す、すごいねぇ……」

「こっちも、完成していたのか……」

「なんでしょう……言葉が出ません……」

4人が呆然とする中、鷲型の機械から、アルタイルが飛び出してきた。

「みんな! お待たせ! 持ってきたよ!」

「かいちょー!」


 他の3体の機械からは、貴族や商会関係者が出てきた。


「この人達の協力で、御覧のとおり、機械ができあがったぞ!」

「すごい……」


 ここまで機械を操縦した人々は、アルタイルと握手をし、そのまま格納庫へと入っていった。


「さぁ! こいつらを操作するのは俺たちだ!」

「わ、私たちですか!?」

「当たり前だろ? 機械を設計したのはヴェラちゃんとレプスちゃんとポラリスくん……そして商会や貴族を代表して、俺たちが責任をもって操縦する!」

「これに関しちゃ仕方が無いね、私たちが操縦するよ!」

「う、うーん……私にできるのでしょうか?」

「ぼ、僕が操縦か……」


 レプスとポラリスは不安の様子だったが、そんな2人を奮い立たせる存在が一人。


「おおおおお!! かっこいいいいいい!!! 見て! ポーちゃん、レプちゃん! これ私たちが考えたやつだよ!!」

「お、おいおい、ヴェラ……興奮しすぎだぞ」

「そりゃ興奮するよ! だってこんな大きな機械作ったこと無いし! しかもかわいい!! これ私たちが操縦できるんでしょ!? 最高だよね!!」

「そうですね! 最高です!! 私、母国でもこんなに大きな機械、そうじゅうしたことありません! 楽しみです!」

「おい、レプス……まぁ、確かに、こんなに素晴らしい機械を操縦できるのは、まぁ、いいことではあるな!」


 ヴェラの熱気に、レプスとポラリスは背中を押され、やる気を出してきた。


「さぁ、2人とも! この子たちを格納庫へ運ぼう!」

「運ぶったって、どれに乗ったら……」

「じゃあレプちゃん! あの地竜に乗っちゃお!」

「はい!」

「じゃあ私はあの亀に乗ろうかね」

「ふ、副会長!? じゃあ僕は……あの熊か」


 4人は各々機械に乗り込み、格納庫の中へと入っていった。

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