第25話 会長と副会長

「みんなー! 大丈夫!?」

「い、一応被害は少ないみたいだね」


  ……2人が寮のエントランスに出てみると、アルタイルとメリクが、焦った様子で辺りを見渡していた。

 従業員たちは、各々安否確認を2人に報告していた。


「かいちょー! ふくかいちょー!」

「ヴェラちゃん! ポラリスくん!」

「アンタたち、無事だったんだね!」


 4人は無事を確認し、お互いに再開を分かち合った。


「会長、副会長、ご無事で何よりです」

「いやー、ここも無事でよかった……」

「聞いたよポラリス、アンタがこの寮をあの変な兎の奴らから守ってくれたんだろう? やるじゃないか」

「ぼ、僕は当然のことをしたまでです!」

「ふくかいちょーの言う通り、よくやったよ、ポーちゃん」

「あ、いや……僕は商会の為にやったまでだ!」

「あはは、相変わらずだね、ポラリスくんは」

「ほんと、素直じゃないねぇ」


 3人は、一時的に平和になった寮の中で、笑い合った。


「それよりもこれからどうするかだねぇ、街中は破壊されつくしちゃってるし……商会員もこれじゃあ、復興に時間が掛かりそうだねぇ」

「何言ってんだい、こういう時こそがめつくならなきゃ生きていけないよ! アル! 工作機械をバンバン作って、他の商会に貸しを作ってやろうじゃないの!」

「おいおい……」


 ……商会の今後について話す2人に対し、ヴェラは提案を促した。


「……かいちょー、ふくかいちょー、折り入ってお願いが」

「なんだい、急に改まって」

「いいよ、ヴェラちゃん、なんだい?」

「えーっと……改めて言うと、なんて説明すればいいのやら……」


 ヴェラは、どこから説明したらよいのかわからなかった。

 隕石の正体、レプスについて、そしてレプスの星で起きたことについて……。


「……ヴェラ、ここは見てもらった方が早いだろう……レプスを」

「……レプちゃんを? ……そっか、そうした方が早いよね」

「……ん?」

「なんだい2人とも」


 小声で話すヴェラとポラリス……2人は意見をまとめ、アルタイルとメリクを真っ直ぐ見た。


「会長、副会長……先ほどまで起きた隕石騒動のことでご相談が」

「隕石騒動について?」

「確か変な兎の奴らが出たってやつだよね? それがどうしたってんだい?」

「かいちょー、ふくかいちょー……こちらへ」


 2人の誘導に、アルタイルとメリクは困惑するも、いつもと違う態度に違和感を覚え、親鳥に着いていく小鳥のように、2人は着いていった。

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