第14話 着替え
「レプスって言ったよね? レプちゃんって呼んでもいい?」
「れ、レプちゃん……ですか?」
「うん! レプスだからレプちゃん! いいでしょ?」
「は、はい……よろしくお願いします、えーっと……ヴェラ、さん……」
「うん、よろしくね!」
2人はお互いに握手をし……笑い合った。
「それで、レプちゃん……レプちゃんは、なんであの隕石に?」
「隕石……私の乗ってきた船の事ですか?」
「……船?」
ヴェラの考える「船」というのは、水の上に浮かぶ帆船や、魔力で動く船の事だった。
隕石の形は、どう考えても、それとはかなりかけ離れていた。
「私が船に乗っていた理由はただ一つ……私の星を支配していた……『侵略者ども』を食い止めるためです!」
「し、侵略者!? ってことは、あの野蛮な奴らたちって……」
「野蛮な奴ら……まさか、既に侵略者はこの星に!?」
「う、うん……今はこの国の軍隊が動いているけど……ってうお!? ど、どうしたの?」
レプスは……驚愕のあまり、ヴェラの両肩を掴んだ。
「た、大変です!! こ、このままじゃ……この星も、奴らの支配下に置かれちゃいます!! 既に到達したってことは、奴らは巨大兵器を使って一気にこの星に攻め入るつもりなのかも……ど、どうすれば……」
「お、落ち着いて! ちょっと話が見えてこないんだけど……あ、そうだ! 今、軍隊が沈静化を行ってるし……今なら移動できるかも! ねぇ、レプちゃん! ちょっとこれ着て!」
ヴェラは着替えさせようとした作業服とヘルメットを手渡した。
「こ、これは?」
「レプちゃん! じ、実はね……」
……ヴェラは服を手渡した理由を話した。
この国の軍が、空からの侵略者を探している事、彼らは兎耳の生えた人間を片っ端に捕まえ、尋問しようとしていることを……。
「な、なるほど……それは確かに大変ですね、わかりました!」
レプスは、ヴェラの言い分を瞬時に理解し……衣服を脱ぎ始めた。
「え、ちょちょちょ……」
ヴェラは咄嗟に後ろを向き、姿勢を低くした。
(……え? なんで私……後ろを向いたんだ? 相手は……女の子なのに……でも……)
レプスの着替える中、ヴェラは目の照準を壁に向けた。
「あれ? これ……どうやって着替えればいいんでしょうか? あの……ヴェラさん」
「へ!? な、なに!?」
「すみません、これに着替え方教えてください」
「あ、き、着替え方ね! う、うん!」
ヴェラは目線を天井に向け、視界に映るレプスに目掛けてゆっくりと向かった。
「……ヴェラさん? どちらへ?」
「あ、ご、ごめん……」
ヴェラの心の中は、邪な気持ちで一杯……心の中では念仏のように無であることを意識していた。
(撫でたいけど我慢……抱きしめたいけど我慢……今はそういう状況じゃない……)
首を大きく振り、ヴェラは作業着の着替え方を教え始めた。
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