夏の消失点．冬の存在地

~2023百万小説創作大賞-日本KADOKAWA特別賞受賞作~

「27歳の俺へ、大人になったあなたが、なぜ彼女の手をしっかり握らなかったんだ？」
「20歳の俺へ、もし君の恋心が本物なら、なぜ彼女の手を引かなかったんだ？」
「なぜ彼女を守れなかったんだ？」
「なぜ彼女に告白しなかったんだ？」
「なぜ手を差し伸べることができたのに、彼女にそれを一人で耐えさせたんだ？」
「なぜいつも側にいたのに、彼女の苦しみに気づかなかったんだ？」

これは「彼女」を中心に展開する物語だ。
蒸し暑い夏と厳しい冬、過去の俺と未来の俺が「彼女」のために努力する話。
時が経っても、季節が変わっても、そばにいるかいないかに関わらず、この恋心は変わらない。
あの約束も、ずっと忘れない。
流星群を一緒に見に行った時に交わした、あの約束を。