第13話 漫画オタク_騎士団を掌握する
「走れ! 目標は、20キロメートルを2時間半だ!」
「「「おおお!」」」
俺は、将軍に任命された。
王族は、戦場に向かうのであれば、俺を大将軍に任命して全権を委任してくれると、約束もしてくれた。
とにかく、兵士もだが、俺自身も修練が足らない。
吐くまで走って、また吐く。
その後に、魔力の鍛錬だ。
「将軍殿! 騎兵隊の準備が整いました!」
「ご苦労……」
次は、実戦の組手だ。
この世界は、戦争が未熟だった。戦略も戦術もほとんどない。
まず、密集陣形を教える。軽歩兵部隊だな。
「肩が触れ合うほどに間を詰めろ。それと6メートルの槍だ。そうすれば、1対6になる。騎兵ですら歩兵で倒せるようになるぞ。それを、100回繰り返せれば、こちらの被害なく、100人倒せるんだ」
アレキサンダー大王が、考案した
まさか、俺が教えることになるとはな。
それと、大盾と短剣だ。重歩兵部隊だな。
こちらは、スキピオのグラディウスだ。盾で相手を防ぎ、グラディウスで突き刺す。
実演してみせた。馬の突進を大盾で防いで、騎兵を突き刺すだけだ。考えることもない。
最後に、強弩兵部隊だ。
フィジカルの低い者や、手足欠損のある者を中心に編成を行う。
連射には向かないが、矢は数だ。数千の矢が、一度に雨の様に降ればいい。こいつらは、矢の装填速度と、命令を順守する心構えを教えるだけでいい。
「さて……、エリートの騎兵さまと、練習試合と行こうか」
俺は、歩兵部隊を率いて練習場に向かった。
◇
「将軍! 敵陣地に我が軍の旗が立ちました!」
「ご苦労……」
なんのことはない。騎兵相手であっても圧勝だった。
こちはら、馬なしなんだけどな。
「損害も、100分の1か……」
騎兵隊は、死んではいないだろうが、ボコボコだ。
瀕死だろうけど、死者はいないはずだ。
戦術のない、ガチンコの戦争……。エリート集団のはずの騎兵といえど、戦術で覆せるのが、証明できた。これは大きいな。
それと西洋を蹂躙したチンギスハーンは、こんな光景を見ていたのかもしれないな。
その後、衛生兵が、騎兵の手当てに向かった。
その光景を観察する。
「回復魔法が、あったのか……」
だが、大将ほどの使い手はいない。あの人は……、レベル1から異質だった。
ここで、騎兵の准将軍が来た。
全身に矢を受けて、グラディウスに足を切りつけられたみたいだ。それと、全身の鎧が歪んでいる。槍で叩かれたみたいだ。
「瀕死だな。手当てして差し上げろ」
まあ、俺が言わなくても、治療はされるか。太い血管を切られているみたいで、出血が酷いが、まあ死なないだろう。
その後、騎兵の指揮権も俺に移譲された。准将軍の心を折ってしまったらしい。
俺は実質上の、この国の第一将軍になったみたいだ。本来であれば、大将が任命されるべきだが、戻って来てからにしよう。
それと……。
「ふぅ~。レベル上げしたいんだけどな……。俺の仕事には、練兵も含まれるのか」
4人で役割を分担したんだけど、思ったよりも時間が自由に取れなかった。
他の3人に置いて行かれたくない。
「俺も頑張らないとな……。練習量を上げて行かないと、あの3人に置いてかれるぞ。地位だけ得ても、実績なしじゃ顔向けできない」
俺の独り言を聞いた兵士たちは、青い顔をしていた。
◇
最後に魔導士部隊だ。
練習試合には、含めなかった。
マジに、殺してしまうという判断だ。この数日での、魔法の威力向上は、目を見張るモノがある。
「下級魔法使いでも、魔力全振りの一発であれば、人も燃やせそうだな。騎兵とのタイマンなら勝てんだろう。盾兵がいれば、完勝だろうな」
もう、練習場は、クレーターだらけだった。
山を一つ消し飛ばしてしまって、王族から抗議が来た。今は海に向けて魔法を撃っている。
「将軍! お疲れ様です!」
「おう、ご苦労さん」
全員が敬礼してくれる。
その一糸乱れぬ動き……、多少は使えるようになって来たか。
「将軍! 練習試合はどうなりましたか? 我々も参加したかったです!」
君ら……、自分の魔法の威力分かってる?
俺は、前第一将軍を消滅させてしまって、怒られたんだよ?
君らが、100人が集まったら騎兵隊なんて、一瞬で塵じゃん。まあ、魔法を外したら、負けだけど。一発だけの全魔力を使った魔法の訓練を行っているけど、タイムラグが致命的でもある。
「軽歩兵、重歩兵、強弩兵で十分だったよ。スコアは……、100対1ってとこだ。死人は出さなかった。お前らの出番は、なかったよ」
「流石です、将軍! 流石以外の言葉がありません!」
「やっと、スタート地点に立てたってとこだ。引き続き鍛錬を怠るなよ」
「「「はっ!」」」
俺は、海に向かって歩き出した。
波打ち際で止まる。
両手に炎を生み出す……。
その炎を、合わせた。
「ベギラマ!(げふん、げふん)」
海水が、沸騰して水蒸気爆発が起きた。海水の雨が、広範囲に振る。
「ちっ……、この程度か。ゴミクズだな。まだまだだ」
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