第42話 オタク仲間_集まる3
城門を潜ると、大歓声を受けました?
「どうゆうことでしょうか……。行きは、静かだったのですが?」
「そのマントですよ。征南将軍の証となります」
衛兵が寄って来ました。護衛の位置にて説明してくれます。
それにしても、なんでしょう? 征南将軍とは……。部隊長と思っていたのですが、いつの間にか将軍になっていたみたいです。ちょっと、恥ずかしいですね。
「征南将軍は、将軍職の最高位ですよ。軍事の最高位という意味です。本来は公爵が努めます。それと、最大で4人と決まっています」
衛兵が、馬の誘導がてら教えてくれました。最高の将軍の証ですか……、面倒ですね。目立っています。
それと、マントの着方です。背中に集めていたのですが、腕が隠れるくらいまで前に回さないといけないらしいです。
抜刀術の邪魔にしかならないんですけどね。
今だけは従っておきましょう。
ここで、馬車が私の後ろに着くと、何かを投げ入れています。
「なんですか、あれ?」
「馬車に投げ込まれているのは、国民の感謝の印です。硬貨、食料、女性からは花です。手紙がついているのは、お読みになられた方がよろしいかと」
ため息しか出ませんよ。
なんか、英雄扱いみたいですね。そこまでの成果は、出していない筈なんですけど。
「稲葉さんは、敵国の王都を落とされたのですよね? 私以上でしたか?」
「稲葉将軍は、飛んで帰って来ましてね。それ以来、民衆の前には出て来ていませんよ?」
稲葉さんは、先見の明がありそうです。こうなることを、知っていたんでしょう。
「若槻さんと鈴木さんは、元気ですか?」
衛兵の表情が、ピリリと引き締まります。
「2人共に、大成果を挙げておられます。ですが、国内でも意見が割れています。あれを、表彰して良いモノかと……」
ふむ? まあ、泥棒と理解できないモノの生産ですからね。
それに独りで動いているところが、マイナスですよね。
「そうなると、将軍職に就いているのは、私と稲葉さんだけですか?」
「そうなります。う~ん、鈴木殿は、名誉将軍ですが、権限がありません。正直……、他の異世界召喚者も凄いのですけどね。表に出て来ないので、国民は知りませんが」
ふう~。馬鹿正直に馬で門から入って来たのは、私だけですか。
皆さん、ナーロッパに慣れ過ぎですね。
「いえ……。これも謀られているのでしょうか?」
「えっ? 誰の謀ごとですか?」
「独り言です。気にせずに進みましょう」
私は、大歓声を受けながら城門を潜りました。
他の異世界召喚者たちは、笑って見ていそうですね~。
◇
王城に着くと、王様との謁見になりました。
玉座の間に案内されます。
『すっごい人だな~』
貴族っぽい人が、溢れていますよ。
それと、異世界召喚者たちも見えます。
中央に進んで、片膝をつきます。
「池上殿。ご苦労であった」
「ははっ」
拍手喝采ですね~。他の方も、こんな賞賛を受けているのでしょうか?
私だけってのは、恥ずかしいです。
その後、王様のありがたいお言葉の後に、会食になりました。
立食式のパーティーみたいです。
「いい匂いですね~。前世の食事は、コンビニが主だったので、暖かい料理はたまりません」
「俺たちの仲間に料理人がいたんだよ。それで、食文化が大分変ったんだぜ?」
声の方向を見ます。
「おお! 稲葉さんじゃないですか。同じ赤いマントですから、将軍なんですね」
「おう。俺は、征北将軍だ。大将と同じだな」
「他の2人は? 見かけませんね~?」
「あの2人は、裏方だからさ。毎日のノルマがあるんだわ。日暮れ頃に戻って来るから情報交換しようぜ」
そうですか。皆さん頑張っていたんですね。
私も数度死にかけましたが、もっと頑張らないといけませんね。若者に負けていられません。
料理を食べます。
「美味しいですね……」
社畜時代を思い出して、涙が出てしまいました。
◇
その後、4人で集まりました。
パーティーを抜け出して、応接室を借ります。
「ふぅ~。パーティーというのも疲れますね。肩が凝りました。戦場の方が、楽ですよ」
「あはは。大将は、変わらないですね。その少し抜けた感じで、暗殺者ですからね。僕たちの中でも一番の成果を出している人って感じがしないのが、怖いです」
自分の服装を見ます。
スーツは、ボロボロ。血で変色しています。穴だらけで、継ぎ接ぎだらけ……。
支給されたマントも、穴だらけですし……。
「スーツは、捨てないでくれ。元の世界に帰る時に使う予定なんだ。預かっておくよ」
そう言われましてもね……。
「支給された服は合わなくて。動きづらかったんですよ。やっぱり、スーツじゃないと、こう……、精神面が安定しなくてですね」
「異世界でもスーツかよ?」
そう言えば、2人はこの世界の服装です。稲葉さんは高校生だったと思うんですが。若槻さんだけが、高校の制服です。
「スーツは、男の戦闘服ですよ?」
3人が笑います。ですが、昭和と平成のサラリーマンの格言なんです。令和では、変わって行くのでしょうけど。
それと、ここは異世界でしたね。
「裁縫スキル持っている奴がいるからさ、スーツをあつらえようぜ? そんなヨレヨレじゃなく、オーダーメイドと行こうぜ。生地も最高級品を使わせる」
おお! ありがたいですね。
「お願いしたいです。どなたでしょうか?」
「召喚時に、大将がパンツをガン見していた、女子生徒だよ」
「見られていたのですか。これはお恥ずかしい」
「安心してくれ。俺も見ていた」
4人で爆笑してしまいました。
歳が倍は離れていますが、良き友人と言った感じですね。
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