第2話 オタク仲間_集まる1
その後、ヤンキーと呼べそうな人物が前に出て来ました。
改造学ランというのかな?
私の時代であれば、多くいましたが、令和の学生でもいるのですね。
そのリーゼントは、時代錯誤と言わざるを得ないんですけど……。
そのヤンキーが、騎士に殴りかかりました。
瞬時に制圧されています……。
ボコボコですね~。頭が、悪すぎます。本当に、令和の学生なのでしょうか?
「畜生! なんで、テメーらだけチート持ってんだよ!?」
「まず、測定を受けろよ。スキルを確認してからが、基本じゃね? 魔法系か、格闘系かも分からないんなら、尚更だ」
君たちが、その基本を無視したから、ヤンキーさんみたいな人が出て来たとの、突っ込みはいれません。
そのヤンキーさんが、引きずられて測定を受けました。
「どうなってんだよ? 最大値が200だぞ? 差があり過ぎじゃねぇか?」
う~ん。前の世界で努力して来なかったのが、目に浮かびます。
その後、他の人たちも測定を受けて、グループを作り雑談を始めました。
「一通り終わりましたね。それでは、食堂に移動しましょうか」
「待ってくれ」
ここで、黒い炎の使い手が、王族の話を遮りました。
王族の女性は、顔の血管をヒクヒクさせていますよ。流石に、ここまでテンプレから外れた異世界召喚もないんでしょうね。
「俺を含めた4人は、自由行動を許可して貰いたい。今だけでもいい」
王族の女性は、顔を真っ赤にさせています。怒り心頭ってとこですね。
「……分かりました。特別待遇といたしましょう」
でも、折れるのですか。大人な対応ですね。
そして、正解でもあると思います。
「そんじゃ、さっきの3人とで話がしたい」
でも、3人?
2人は分かるんですけど……。
黒い炎の使い手が、私を見ました。
「おっさんは、反対か?」
どうやら、私も含まれていたみたいです。動揺しなかった4人だったみたいですね。
見抜かれていましたか……。
私は彼等を見ていましたが、私も見られていたんですね。ニーチェの言葉が、思い出されます。
◇
別室に案内されました。調度品とかを見るのですが、来客室だと思われます。
テーブルを囲み4人で座りました。
「さて、盗聴されていそうだから、簡単な意思合わせで終わらせようぜ。短時間にしないと、他の奴らに不信を持たれそうだ」
ふむ……。頭が切れる青年みたいですね。
でも、もう不信は持たれているんですよ?
「俺は、〈炎魔法〉を持っている。MP(魔力)は1000だ。この後は、騎士たちの訓練に参加予定だ。とにかく、攻撃力を極める予定でいる」
2人が頷く。
「僕は、〈空間魔法〉の使い手です。〈転移〉〈転送〉〈収納〉を持っています。あの16人は、僕が指導します。凌辱とかされたら、全員での帰還は不可能になりますからね。任せてください」
「なにをするつもりだ?」
「内政を手伝います。とりあえず、物資の量産ですかね。そうすれば、あのババアも納得するでしょう」
他の2人が頷きました。この青年も先が見えていますね。
それに、人を率いるタイプみたいです。学級委員長?
「ワイは、〈金属魔法〉だ。さっきは、兵士の槍と鎧を捩じった。金属を魔力で生み出す事も可能だ」
そう言うと、黄金色の金属を、手から生み出しました。
「砂金か?」
「ああ、そうだ。ワイは……、そうだな。銃器を作ろうか。火薬の変わりに魔力がいいだろう。最終的には、戦闘ヘリコプターを設計してみる。戦争の終結が目的だからな。ワイは、この世界の戦争を学ぶことから始めて行くよ。図書室に篭るとこからだな」
「さっき窓から見たんだけどさ、移動が馬頼りみたいだからさ、銃よりトラックが欲しいな」
「……ほう? 分かった。任せてくれ」
頼もし過ぎますね~。
最後に私ですが……。期待の視線が、痛いです。
「え~と、ステータスは低めです。スキルは、〈変身〉が目に付きますね。魔法は、〈透明化〉でした」
3人が考え出します。
「「「〈透明化〉を使って貰えるか?」」」
イメージすると、「おおお!」という、歓声が上がりました。
自分の手を見ます。透けていますね。服も透けているので、脱ぐ必要もないみたいです。使い勝手はいいかもしれません。
とりあえず、〈透明化〉を解きました。
「〈変身〉ってのは?」
まだ、検証もしていないんですけど……。
部屋の鏡を持って来て、テーブルに置きます。
魔力を活性化させて、自分顔を触って行く……。
これ、あれですね。某有名漫画のクヌム神――そのままですね。(げふん、げふん)
使い方が分かれば、応用も利きそうです。
「若返ってね? おっさんも、若い頃は、イケメンだったんだな」
私の若い頃は、こんな顔ではなかったとは言えません。
皮膚を若返らせて、形を整えただけです。
それと、気になっていた、薄毛も治して行きます。これで、20代に見えるでしょう。もう一つ、視力を回復させます。眼球が延びて楕円形になっているのを、矯正しました。眼鏡が不要の生活は、嬉しいですね~。
それを見た、3人が驚きを隠しません。
「なあ、そのスキルって他人にも使えるのか?」
「試してみますか?」
結果として、他人の怪我をして毛の生えなかった箇所にも、毛を生やすことが出来ました。10円ハゲでも治せてしまえましたよ。
「身長は伸ばせるのですか?」
次の質問が来ました。まったく、想像力の逞しい青年たちですね。
言われるがまま、彼の脛の骨を10センチメートル伸ばします。感覚が慣れるまでは、走らない方がいいと伝えました。
「なあ、腹の脂肪って消費できるか?」
これは考え物ですね……。
「脂肪細胞を死滅させると、二度と太れませんよ? それと、即効性はないでしょう」
「それでも、頼みたい」
私は、彼の肝臓と腹の脂肪を糖質に変化させました。脂肪細胞は、二度と生れないので、彼の腹が膨らむこともないと思います。体にいいのかどうかは、私には判断できません。
「おっさんは……、もしかして〈治療〉もできるのか?」
想像力が、凄まじいですね~。
炎魔法の彼は、火傷をしていたみたいです。まだ、制御がおぼつかないのでしょうね。
手の皮が、火傷で爛れています。痛みを見せないのは、凄まじい精神力と言えますが。
私が、魔力を送ると、彼の皮膚が再生しました。
「ふむ。〈治療〉も可能みたいですね。指を生やすことが出来れば、前世以上の技術になりますね~」
可能か不可能かで言えば、可能だと思ってしまいます。魔法は、想像力が大事ですよね。
「「「おっさん! あんたが俺たちの大将だな!」」」
どうやら、認められたみたいですね~。追放枠でなくて良かったです。
それにしても、私が大将?
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