第39話 科学オタク_出撃する

 その後、待ちの状態が続いた。

 まあ、情報収集だな。


 大将は、南国のサンドランドには攻め込んでいないが、敵兵士をほとんど殲滅したらしい。

 敗戦続きで、南国は不満が高まり、国内情勢が不安定なんだとか。

 最近は、戦闘が起きていないと連絡を受けた。

 流石以外の言葉が出ないよ。

 それと、レベルが上がっているんだろうな。どんな戦闘狂が出来上がっているのか……。


「大将は……、どんなスキルを覚えているのかな……」


 恐怖でもある。味方で良かった。

 まあ、次に会った時に教えて貰おう。


 稲葉は、逆に北国のネオランドを追い詰めている。

 打って出て平地で、敵兵を殲滅しているらしい。

 ただし、取りこぼしも多いのだとか。逃走した兵士が、問題になっているらしい。自国内を荒し回ったら盗賊じゃんって言いたい。まあ、敗残兵の末路なんて決まっているか。

 それと……、逃げた王族には手を出さないのだとか。

 とことんまで、追い込むつもりなんだろう。性格が出ているな……。

 武力制圧は簡単にできるんだろうけど、『降伏』を選ばせるつもりなんだと思う。その方が、後々の復興に役立つしね。


「まあ、稲葉も民衆を燃やすことはしないだろう。多分……」


 考えがあって、時と場所を選んで魔法をぶっ放していると思おう。


 西国のウミタリアは、ガイウス将軍だ。

 大陸一を誇る砦を制圧して、防衛しているらしい。

 援軍というか、制圧兵を求めているらしいが、まだ早い。

 防衛に徹して貰おう。


「物資は、十分だろうし。まあ、負けはないよな……」


 あれだけの装備で、負けるのであれば、将軍交代だな。砦を奪われたら、ワイが行けばいいだけだし。それだけの兵器も整えた。

 西国は、混乱しているらしい。だけど、南国みたいに兵士の大量投入しないところを見ると、国の上層部が優秀だと分かる。今頃は、奪った武器の解析でもしているんだろう。だけど作れないよね。まあ、奪われても問題視していない。


 そんで、東国のエアタリアだ。

 食料を売ってみた。

 高値でも買うらしい。若槻は……、とんだ大泥棒だったな。

 ワイは、注力して、東国の情報を集めているけど、国内情勢がよろしくない。

 一番、国民の不満が溜まっているみたいだ。


「兵力を持っているのに、追い詰められているからね……」


 国民感情として、一番危険な状況だ。

 そして、軍の上層部が優秀だと分かった。


「攻め込んだら負けることを、情報だけで察知したのか……。頭が優秀だと面倒だな」


 もしくは、稲葉だな。北国で少々やりあったらしい。

 馬鹿デカい、花火でも上げたんだろう。

 それで、怯んでいる可能性が高い。


 だけど、時間の問題のはずだ。

 民衆に後押しされて、開戦する――と思う。

 金銭は失っただろうけど、物資はある。兵士も遊んでいるだけだ。これで、国民が不満を言わないわけがない。その先に、全滅の結果があると分かっているのは、極少数だ。


「まあ、待ってるのも暇だし、新しい武器でも作っておくか」





 3日後、東国から宣戦布告が行われた。

 東国は、戦艦でもって攻めて来たんだ。


「計算通りだ。いくら王族とはいえ、国民の多数意見には逆らえないんだな……」


 東国としては、中央国に攻め込んで物資を持ち帰らないといけないんだろうな。

 可哀相になって来る。

 さて……、準備するか。もう、防衛態勢は整っているんだ。



「鈴木教授! 設置が終わりました!」


「ご苦労さん……」


 海岸沿いには、アームストロング砲が100門並んでいる。

 中央国は、領土が狭く、海岸線も短いので戦力を集中できる。

 それに、船で上陸できる場所となると限られてくる。

 整備された港か、砂浜だな。

 切り立った崖にも、数門だけどアームストロング砲が設置されているので、上陸されることはないだろう。


 待っていると、戦艦の影が見えた。

 まあ、目視できる時点で射程距離だ。


「砲撃開始。当ててね」


 そう言えば、稲葉から電話作成の依頼があったな。まだ作ってはいないけど。

 電話の前に、無線を作ってみた。もうね、軍部には大好評だよ。


「「「砲撃開始~!」」」


 将軍たちの合図で、一斉砲撃が始まった。

 うん。練習の成果が出ている。結構当たっているね。

 外れても、2発目は当てている。


 大きい船が沈むと、小さい船は反転して戻ろうとしている。

 その船もことごとく、海の藻屑に変えている。

 数回の練習だけで、ここまでの命中精度を確保できるのか……。砲兵は、優秀だったらしい。まあ、扱いやすく作ったのもある。


 ワイは、レーダーで敵船の確認をすることにした。


「うん……。船は全て沈んだね……。それじゃあ、ワイも出撃するか」


「鈴木教授が、出撃されるのですか?」


 将軍の一人が、質問して来た。そんなに意外なの?


「パッと行って、サッと戻って来るよ。それと、漂流している敗残兵を助ける船を出しておいてくれ。捕虜にする。それで、引き渡し金を出させれば、東国は財政破綻するね。ハイパーインフレで国が終わると思う」


「「「はっ!」」」


 君ら、ワイの言っていること分かっている?

 ワイは、戦闘ヘリコプターに乗り込んだ。


 ――キュンキュンキュン……バラバラバラ……


 戦闘ヘリコプターが浮き上がる。武装は、完璧だ。

 ワイは、そのまま東国に向けて飛び立った。

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