第43話 ●天野蒼空 様 最終電車を読んで、愛情を取り戻しちゃいました。後編

 続きです。


 「と、とりあえずヘビッチの夜食の冷凍ラットを解凍してくるね」


 ペンギン豆知識の話は続いていましたが、一息入れる為にキッチンにてジップロックに入れた冷凍ラットを湯せん解凍して部屋に戻りました。


 ガチャ


 「え? ポコッチ?! なんでいるの?!」

 (まずいよ……)


 自室に戻ると何故かタヌキのポコッチが途中参加していました。

 ポコッチはベッドの上でしっぽを丸めてまくら代わりにしながら伏せて、上目遣いでこちらを見ています。


 「ごめんなさい友美ちゃん……私も駄目だって言ったんだけど、天野様の純愛作品を紹介するんだから、来なきゃ駄目だってヘビさんに言われて……」


 「…………」


 「今回の作品、最終電車は主人公の女性が彼を愛する気持ちが、惜しみなく書かれているんだ。だから、僕らの仲間の中で一番一途な恋心を持つ、タヌキのポコッチさんに来てもらったんだ」


 「そ、そうなんだ……」

 (ちょっと待って? そんな話聞いた事ないよ?)


 「はいっ! ここでポコッチさんに関して問題っ!」


 タヌキのポコッチさんは何故読書会参加を極力遠慮してもらう事になったのでしょうか?

 (ちなみに99%実話です)


 ①中学生読者の保護者のお母様から、ポコッチと言う名前は男性のシンボルを想像させるネーミングだから、教育上良くないと、複数回に渡り指摘とクレームを受けた。

 ②執筆中、何度もポコチ……と入力ミスをしてしまい、投稿サイトにおける重大な規約違反になるのを更新直前に発見。事なきを得た事が何度もあった。

 ③執筆の師匠である三毛猫未異美♪様から、空色杯はしっかりやりなさいと何度もDMでお叱りを受け、念を押されたのにも関わらず、前回の空色杯で下ネタ作品を応募してしまった。そして天野様の空色杯感想会の動画で、作品を紹介して頂いたが、共に参加していたVチューバーの方と天野様を絶句に追い込んでしまい、危うく放送事故になる所だった。その後師匠から案の定、とてもありがたいお叱りのDMを頂き、次回天野様にお会いした際は必ず土下座謝罪をする様に指導を受けた。


 「…………」

 (あの〜すみません。全部正解なんですが?)


 「さあ、役者も揃った事だし天野様の作品を熟読しようじゃないか」


 「う、うん。わかった」


 2時間後 


 ポコッチは私の膝の上で一緒に作品を読み終え語り始めました。


 「友美ちゃん。天野様の作品は文章のタッチがどこか詩の様な印象を受けるわ。だから、登場人物たちの内面が凄く伝わるの。人を愛する気持ちは無くしては駄目だって気付かされたわ」


 「そうだね! 純愛作品として楽しんで読めるよね」


 「天野様の作品は純愛作品が多く、相手に対しての気持ちの度合いと言う、ものさしでは測る事が出来ない愛情がもの凄く伝わる作品が多い。更にその純愛と言う描写を嫌みがなく、日常の出来事や、何気ない掛け合いの中でさり気なく……時には直球で表現しているんだ。ハッピーエンドが基本的な作風……だが『こんな私を好きになってくれてありがとう』と言う作品はメリーバッドエンドでもある。しかし、基本的には愛情と純愛と言うテーマで、読み終えた後のほのぼの感は全ての作品においてブレがない。安心して読める作品達だと思う」


 「はいは〜い! カワちゃんもヘビさんの意見に同感です!」


 カワちゃんは追加で用意した、焼きししゃもを両手に持ち、シャクシャク食べながら同意を露わにしています。


 「私もヘビさんの意見に同感です。そして特に印象に残ったのは、『ずっとずっと』と言う作品です。この話は彼が自分の事をいつ好きになったか? と言う、問い掛けから始まる掛け合い作品です。私もいなくなった旦那と、こんな会話をした時もありました……懐かしいです」


 「ポコッチ……」

 (そうだった……)


 タヌキのポコッチは、十匹の子狸を産んだ直後、旦那さんがいなくなってしまいました。そして、たった一人で子狸を育てていましたが、餌がなくて母乳が出なくなり、次々と子狸が死んでいってしまい、最後に残った女の子を人間の男の子に託した……。その手助けを私がした過去がありました。


 「ごめんなさいね。暗い話をしてしまって……」


 「だ、大丈夫だよ! ポコッチ!」


 「はい! ハーイ! 私も私も!」


 「え?」

 (あっ……そうだったね……)


 カワウソのカワちゃんも、工事による水質汚染で子供を亡くし、そして自らも……。


 「私ね、残念な結果になっちゃったけど、旦那さんを愛して子供が産まれて本当に良かったと思っていたの! だって、あの時、あの恋をした瞬間はとっても充実していたから!」


 「カワちゃん……」


 「カワウソさんとポコッチさんは、辛い過去があるが、二人共恋をして、相手を愛した事は後悔していない……だから、天野様の作品は、恋の尊さも表現していると思う。だから、二人に刺さったんじゃないか?」


 「はい……ヘビさんの仰る通りです」

 「ハイッ! そうで〜す!」


 「友美ちゃんの様に、汚れきった性欲ありきの状況に陥った際には、天野様の作品を読むといい。自分の中に宿る純粋な気持ちを大事にしなくてはいけない……と思い出させてくれる作品達だからな」


 「…………」

 (ちょっと待って? なんか、言われのない誹謗中傷受けてない?)


 「最後に僕が特に気にいった作品、『ブライダルベールの花束をあなたに』は、緊迫感のあるリアルな会話のやり取りが特に印象に残った。そしてちょっと切ないラストも……」


 「ハイッ! 私も最後に問題です!」

 天野様が苦手な事はなんでしょうか?

 ①狭い所の車の駐車

 ②ディズニーシーのタワーオブテラー

 ③お化け

 ④火曜日の一限

 ⑤字幕を付ける編集

 ⑥アクションゲーム

 ⑦辛い物

 ⑧親御さんに改めて「プレゼント」って言って渡す事

 ⑨マイクラ

 ⑩紙のストロー


 「…………」

 (天野様……苦手な物多くない?)


 膝の上のポコッチは私の顔を見つめ最後に言いました。


 「友美ちゃん。私も最後に……天野様の朗読、小説紹介の動画を見ました。総じて思う事は、天野様はそれぞれの作品に対して、しっかりとリスペクトした上で、作品に対する愛を持って向き合っているんです。だから、紹介した作品の作者様が皆、笑顔になれるんです。これからも活動を見守りたいと思います」


 「そうだね! 私達の読書会も、天野様の朗読や紹介みたいに、作者の方々に笑顔になって欲しいよね!」


 「はいっ! 友美ちゃん! またカワちゃんも読書会に呼んでね!」


 「うん! わかった!」


 私達はその後も、天野様の作品を読んで恋愛を朝まで語り明かしていました。



 天野様

 今回はありがとうございました!


 天野蒼空様のマイページ


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