第26話 ●万吉8様 冥王の教室--『盟約の子』アーシェを読んで読書会欠席しちゃいました。
◎今回の読書会作品
万吉8 様
冥王の教室--『盟約の子』アーシェ
(カクヨム)
◎今回の読書会参加者
・加納友美
動物と話しが出来る大学一年生。
どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。
・エリマキトカゲのエリマキッチ
文学フリマ同人版にのみ登場する、古き良き流行を愛するエリマキトカゲ。解説役。
・毛ガニの毛ガニッチ
宅配便で友美さんの家に送られてきた、純真無垢のちょっと幼い毛ガニ。
・マングースのイタッチ
飼い主に捨てられたコビトマングース。無理矢理ヘビと戦わされて、足を噛まれたトラウマを持つ。
ガチャ
「あれ?エリマキッチ?!」
読書会が開催される自室に入室しましたが、他県の動物園に行くので、しばらく読書会には参加出来ないと言っていたエリマキッチがいる事に驚愕しています。
「いや〜久しぶりだね友美ちゃん」
「うん!どうしたの?」
「今回の読書会は錦鯉さんと電気のウナギさんが参加予定だったんだが、作者の万吉8様が漁業関係者の方だと聞いて、怖くなり参加を見合わせたらしいんだ」
「…………」
(錦鯉は食用じゃないし、デンキウナギも日本じゃ食べなくない?)
「だから、急遽僕が代役を努める事にしたんだ!」
「そ、そうなんだ……」
「友美ちゃん!ガイコツって美味しいの?カニカニ!」
「…………」
(毛ガニッチ……あなたが私達の作品の中でも一番、漁で捕獲される可能性高いよ?あと、ガイコツは既に骨だよ。肉要素ないよ?)
毛ガニッチは自身が一番捕食対象とは知らず、呑気に語尾のカニカニ!に合わせてハサミをカシャカシャ。
「私は海の生物じゃないから、大丈夫ですよね?」
「あ、うん!イタッチは安全な動物園で暮らしてるから、もちろん大丈夫だよ!」
マングースのイタッチは、夜食に用意した、鶏のササミの黒ゴマ和えを不味そうにモシャモシャ食べながら、見当違いのトラウマを発動。
「あ、ところで私、冥界とか冥王って言うのがわかりません……」
「なるほど。それでは、わからないマングースさんの為に、簡単に文学上の冥王と言うのを説明してあげよう」
エリマキッチは、襟巻きを全開に広げ始め語りの体制に入りました。
「まず冥界と言うのは、わかりやすく言うと死後にいく世界の総称だ。日本風に言うなら黄泉の国と言った方がわかりやすいかな?そして死後に行く姿としては、魂と言う実体のない姿、生前の姿そのまま、もしくはガイコツの姿など、作品により様々だ」
「ガイコツ!!冥界行きたい!カニカニ!」
「…………」
(だから……ガイコツは食べ物じゃないからね。それにカニは骨組みないんだから、ガイコツの姿になれなくない?)
「そして、その冥界を統治する者、それが今回の作品に登場する冥王なんだ。冥王と言うのは古くからギリシャ神話のハーデース、ローマ神話のプルートーなど、様々な名称で存在してきたんだ。日本や中国では閻魔大王が一番近い存在ではないかと思う」
「そうだったんですね。わかりました」
「そして、その冥王と言うのは冥界を統治・管理する王様の事で様々な作品に登場するんだ。日本では、聖闘士星矢、スレイヤーズ、セーラームーンなどアニメ作品に多くその名称が用いられているんだ」
「じゃ、じゃあ早速今回の作品を読もうよ!」
(エリマキッチの、今回の語りは意外と短かったから良かったよ……)
三時間後
「友美ちゃん。この作品のあらすじだが、大賢者ゼニスの後任として冒険者学園に赴任して来た冥王と付き人のガイコツ……そして実は冥王には、ある計画があり、それを成就する事が出来るか?更に生徒であるアーシェさんの秘密、個性的な登場人物たちの学園生活を中心に描いた物語だ」
「そうだね!個性的な登場人物達の掛け合いが楽しい作品だね!」
「私もそう思います。学園のほのぼのした雰囲気に、ダークな悪役的印象がある、冥王様とガイコツさんと生徒さん達の会話が楽しいです」
「確かに全体的な雰囲気はコミカルな作品だが、魔法や世界観の設定解説が織り交ぜてあり、ギャグ作品ではなく作り込まれたシリアス設定を学園と言う舞台に、融合させている感じがして、とても一言では表現出来ない不思議な作品なんだ」
「作者様の冥王シリーズの別作品、以前にも読んだけど、どこか現実的な要素を盛り込んでいて、家庭訪問とか変なリアリティがあるよね?」
「友美ちゃんもそう思うか?そうなんだ。この作品の文体は良い意味での回りくどさがあるんだ」
「え?どう言う事?」
「例えば、作品全体の世界観が壮大である事、大賢者との関係性、魔王軍、魔法、アーシェさんの家庭事情など、設定が複雑な内容を読者が文面だけでどう理解するか?僕も一度では把握出来ない設定があった。しかし、会話の間に描写してある、語り手の……おっと、これはわかりやすく以下にまとめた」
●百円を拾った友美ちゃんは嬉しそうに言った。
→友美ちゃんは拾った百円を右手で掲げ、小刻みに飛び跳ねながら嬉しそうに言った。
●友美ちゃんはドブに落ちて足が濡れた。
→薄笑いで歩いていた友美ちゃんはドブに落ちて、足指の間にまで泥が入りこみ、跳ねた汚水がズボンの裾を濡らした。
「…………」
「どうだい?この作品は会話の流れの中にも、こう言った動作や表情など逐一表現している箇所が度々見受けられる。逆に省略しても問題ない、◯◯が言った……をあえて表現したり……更に逆で連続した会話文のみでの構成。この積み重ねで、複雑な設定が理解出来る所があるんだ。だから、一度理解してしまうと、作品にドップリハマった感が出てくる。映像が浮かんで来る。それがこの作品の一番の魅力なんじゃないかと思う」
「私も上手く表現出来ないけど、万吉様の作品は独特の表現が凄いと思うよ!」
「これ?冥王樹の種かな?エイっ!カニカニ!」
毛ガニッチは、イタッチが不味そうに食べていたササミについた黒ごまを取って投げています。
「…………」
(それはただのゴマだよ?毛ガニッチはやっぱり全然わかってないね……。あとあなたゴマも掴めるんだね。器用なハサミだね)
イタッチは、毛ガニッチが投げたゴマをわざわざ拾い食いして語り始めました。
「物語も学園での行事や些細な日常的行動を、冥王様とガイコツさんの独特な授業みたいな語りがあってとても面白いです。でも今後の展開に壮大さがある感じがして、なんだかワクワクします。エリマキのトカゲさんが言う様に、やはり一度ハマると、読み進めてしまう感はすごくあります」
「やっぱり学園に教師として赴任した冥王様、って言う設定だけで楽しいよね!」
「ああ。そこに様々な各自の事情や価値観、それに伴う掛け合いのズレみちいな物が楽しい作品だ」
「わかった!私、死んだら冥界に行ってガイコツさんの生徒になるわ!カニカニ!」
「…………」
(毛ガニッチ……あなたどんだけガイコツさん好きなの?でも、なんかわかるかも!)
その後私達は、毛ガニッチに一から物語を解説。みんなで笑い、時にはシリアスになりながらこの作品の続きを読んでいました。
作者 万吉8 様
今回はありがとうございました!
漁師のお仕事頑張って下さい!
今回の作品はこちらからどうぞ!
https://kakuyomu.jp/works/16817139557759683816
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