第36話 ●橋本洋一 様 猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~を読んで、魂を感じちゃいました。
◎今回の読書会作品
橋本洋一 様
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~ (小説家になろう)
◎今回の読書会参加者
・加納友美
動物と話しが出来る大学一年生。
どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。
・エリマキトカゲのエリマキッチ
古き良き流行を愛するエリマキトカゲ。解説役。
・タヌキのタヌッチ(旧名ポコッチ)
ちょっと天然なお母さんタヌキ。
ネーミングの危なさから、読書会を出入り禁止になり、改名もした。
ガチャ
「え?またポコッチ?!」
(ちょっと……本当にいい加減にしてよ……)
私は読書会が開催される自室に入室しましたが、ネーミングが男性のシンボルを想像する人が多いとの理由で改名、及び読書会を出入り禁止対応にしている、タヌキのタヌッチ(旧名ポコッチ)がいる事に呆れを感じています。
「友美ちゃん、名前を間違えるなんて失礼じゃないか?」
エリマキトカゲのエリマキッチは、テーブルの上で解凍した冷凍コオロギをモシャモシャ噛み砕く様に食べながら、私に指摘していました。
更にタヌキのタヌッチ(旧名ポコッチ)はベッドの枕の上に伏せて、涙目になりながら上目遣いで私を見ています。
「あ、うん。そうだね。ごめんね、タヌッチ……」
「いいのよ。こちらこそ、ごめんなさい。私も出入り禁止だから駄目だって言ったんだけど、今回は戦国時代が舞台の歴史作品だから、ポコッチと聞いて男性のシンボルを想像する方は戦国時代にはいないから大丈夫って、エリマキのトカゲさんに言われたの。だから……」
「…………」
(いや、作品の舞台が戦国時代であって、今は現代でしょ?その理屈おかしくない?)
「友美ちゃん。今回の作品は戦国時代を舞台にした架空の戦記作品だ。ところで、戦国時代の中で、織田信長と言う人物が登場する小説作品は一番多いんだ」
「そうなの?」
「ああ。小説作品の織田信長と言う題材は激戦区中の激戦区なんだ。何故こんなに多いか?少し織田信長と言う人物について語らせてくれないか?」
「あ、うん。いいけど、今回の作品の主人公は織田信長じゃなくない?」
バサッ!
「え?」
私のその言葉に、エリマキッチは襟巻を全開。
「ガラガラシャーッ!」
「あ、はい……なんでもないです……」
(ちょっと……怖いよ……しかも、あなたエリマキトカゲだよね?ガラガラヘビじゃないよね?)
「そもそも織田信長と言う人物は、江戸時代においては、その残虐性ばかりがクローズアップされていて、あまり庶民のイメージは良くなかったそうなんだ。それに対して豊臣秀吉は歌舞伎や人形浄瑠璃などで庶民に愛されていた。織田信長は悪役や引き立て役に回る事が多かったんだ」
「そうなんだね」
「しかし、江戸時代中期以降は再評価される形で、革新的な政策を行った人物と言う事で、幕末志士達の多くにも尊敬されていたそうだ。そして明治以降は、織田信長を題材にした作品が爆発的に増えていった。そして近年、信長人気を決定付けた作品は色々あるが、その代表は司馬遼太郎の国盗り物語、安部龍太郎の信長燃ゆなどが挙げられる。そしてゲーム、漫画など様々なコンテンツに彼は登場――その人気を不動の物にしたんだ」
「でも、なんでだろうね?」
「それは、やはり織田信長と言う人物の人生が非常にドラマチックであると言う事だろう。当時は日本の仏教の総本山でもある比叡山焼き討ち、鉄砲の積極的な導入、天下統一を目の前にしながらも、本能寺の変によりその命を落としたと言う衝撃的な結末もまた、人気の要因だと思う」
「そうね。そして、その織田信長に仕えた豊臣秀吉もまた、小説では人気があるのよ」
(ポコッチいやタヌッチ……いつの間に……)
「今、タヌキンポさんから話が出たが、今回の作品は若き日の豊臣秀吉と出合い、助けられ、仕えた雲之助と言う少年が主人公の成長と、戦国時代に生きた生涯と証の物語……ウウッ……」
「え?!エリマキッチ!どうしたの?!」
タヌキンポと言う、規約違反スレスレの間違いをツッコむ間もなく、突然泣き始めたエリマキッチ。
「済まない。この作品の最後を思い出し、思わずウルッと来てしまった」
「そうね……この作品の主人公雲之助さんは、とても優しく、ある意味人間らしいの。人間誰しもが持つ弱さを、しっかりと表現しているの。それを理解出来るのは、この作品が読み易いからね。女性にもおすすめね」
「うん!そうだね。わかり易かった」
「友美ちゃん。それは違うな」
「え?」
「この作品は読み易いからと言う理由だけで、女性にもおすすめな訳ではないと思う」
「どう言う事?」
「時代劇、特に戦国時代を題材にしたテレビドラマ、映画や小説と言うのは、一般的には女性は好まないとされる」
「そうかも。でも最近は色々なコンテンツで登場するから、女性にも身近なキャラだと思うよ」
「そうだな。これは僕の考えなんだが、戦国時代と言うのは、まだ男女差別があり、政略結婚など見方によっては女性が虐げられていた時代だ。そもそもそこに共感出来ない――と言う理由があるかも知れない。戦いの物語と言う時代だから、心理描写など緻密なドラマ性を求める、女性特有の感性も影響していると思う」
「なるほどだね……」
「だが、この作品は男女関係なく、一人の人間の生涯の物語として、大衆向けのドラマ性が十分に散りばめられた作品だ。戦国時代なりの、一途な恋愛的な要素もあるから、女性にも楽しめる。感情移入出来る。素晴らしい作品だと思う」
「そうだね!たくさんの人に評価されてる作品だもんね!」
私とエリマキッチの会話に、タヌッチ(旧名ポコッチ)は何故か残念そうに悲しい目をしています。
「そう言えば戦国時代に、私の仲間はいたのかしら?」
「ポコタヌキンさん!何を言ってるんだい?戦国時代でタヌキと言えば徳川家康がいるじゃないか!」
「そう言えばそうね!とってもビックな方よね!」
「そうだ!とんでもないビックネームだぞ!ポコッチンさんは大きくなるんだ!」
「わかったわ!大きくなるのね!元気でたわ!」
(ちょっと……平然と名前間違えて、危ない発言やめてくれないかな?あと、タヌッチも間違えられた事ツッコミなよ……)
「と、とにかく、この作品は大衆に愛される要素がある、歴史作品だって事だよね?!」
「ああ、もちろんだ。大衆向けでもあるが、作品を読んでいると、文字から、作者様の魂が感じられるんだ」
「うん!そうだね!橋本様の作品は以前に幕末魔王伝も読んだけど、また一味違う感じがするよね!」
「そうなんだよ。うまく表現出来ないのだが、特に心理描写――作品全体に力を感じる。一言一句に拘りを感じられる。この作品を書き上げるのは、相当ご苦労を重ねたんじゃないかって。だから魂がこもっている様に感じられる。凄い作品だと思う。チンタヌキさんは分かってくれるよな?」
「はい!もちろんです。一人の人間の生涯を描くと言うのは、こう言う事を言うのですね。とにかく読後感も感慨深い物がある秀逸な作品です」
(駄目だ……名前の言い間違えばっか気になっちゃうよ……)
「IF戦記による人間模様を分かりやすくかつ、要所要所は緻密で重厚に描く作品……史実との逸脱もバランスが良く、本当に楽しめる作品だから、おすすめだ」
「うん!そうだね」
その後、エリマキッチから豊臣秀吉と言う人物の生涯についても教わり、朝まで色々と語り明かしていました。
作者 橋本洋一 様
今回はありがとうございました!
今回の作品はこちらからどうぞ!
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