第17話 ●敷金 様 美神戦隊アンナセイヴァーを読んで憧れを抱いちゃいました。

◎今回の読書会作品

 敷金 様

 美神戦隊アンナセイヴァー (小説家になろう)


◎今回の読書会参加者

・加納友美 

 動物と話しが出来る大学一年生。

 どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。

・エリマキトカゲのエリマキッチ。

 文学フリマ版にのみ登場する、古き流行を愛するエリマキトカゲ。解説役。 

・イグアナのイグッチ

 ゆっくり過ぎるイグアナ。

・神山ゆかり

 友美さんのクラスメート。

 ゆるふわ天然爆弾娘。その発言の数々で、過去友美さんを何度も絶句に追い込んだ。



 既に読書会は始まっています。


 「友美ちゃん。ゆかりちゃん。今回の作品、美神戦隊アンナセイヴァーを紹介する前に、ヒロイン変身バトル物の歴史を語らせてくれないか?」


 「え?あ、うん。いいよ」


 エリマキッチは、テーブルの上で襟巻きを全開に広げて、夜食の冷凍コオロギをパクパクと美味しそうに食べながら語り始めました。


 「日本では、古くから女性は家庭を守るべきだと言う根強い風習の様な物があり、戦う女の子がクローズアップされた作品はかなり少ないんだ。歴史上の人物を見ても、いない訳ではないが女将軍と言うのは少ないだろ?古くは巫女やシャーマンと言った様に、戦う当事者ではなく、象徴的存在である事が多かった」


 「うん」


 「そしてまず登場したのは、魔女っ子と言う存在だ。サリーちゃんやアッコちゃん、メルモちゃんなど、変身して戦うのではなく、日常の問題や困り事、そしてその当時は職業差別なんかもあったから、医者や弁護士、女の子が憧れる職業に魔女っ子達が変身して、夢を叶えたり活躍する作品が多かったんだ」


 「テクマクマヤコン!女力士になあれ!なんちゃって!アハ!」 


 「…………」

 (ゆかりちゃん……それは職業差別じゃなくて、大多数の女性が好んで力士にならないんだよ?)


 「しかし、現代は女性がなれない職業と言うのはほぼなくなっただろ?その為、アッコちゃんの様な職業変身型の女の子向けアニメはほとんどなくなったんだ。時代の移り変わりと言えるだろう」


 「そうだね」


 「だが、ヒロインバトル物と言うのは無かった訳じゃない。リボンの騎士、ラ・セーヌの星、キューティーハニーなど少ないながらも作品は存在していた。その他は戦隊物のメンバーの一人としてピンクのイメージカラーの戦士が存在していたに過ぎなかった。そして80年から90年代に入ると、セーラームーン、プリキュア、風の谷のナウシカ、ストライクウィッチーズ、サクラ大戦などが登場。特にプリキュアに関しては、当時では珍しく遠隔の魔法ではなく、体術を駆使した肉弾戦に特化した女性ヒロインと言う事で、女の子の心を鷲掴みにして、現在も新作が放送されているんだ」


 「うん。そうだね!」


 「私も憧れたな~。キュアセクシー!どうかな?」


 「…………」

 (ゆかりちゃん……それじゃあ18禁ヒロインになっちゃうから……)


 「そして今回の作品、美神戦隊アンナセイヴァーは搭乗者完全格納型の人型重装甲搭乗兵器と言う形で、状況に応じてオールラウンドのバトルを行い事件を解決へ導く為に活動すると言う、SF要素もあるバトル物だ」


 「そうだね!でも世界観は社会派ドラマの様なダークな印象だったよ」


 「ああ。作者様も仰っていた様に、作品タイトルだけ見ると美少女戦隊娯楽作品の様な印象を受ける。しかし、読んでみると全然違っていた。猟奇殺人事件、そこから波及する広大な敵、シリアスに伏線も多数あり、ハラハラしながら読ませてもらったよ!とても楽しい作品だった」


 「か…………こ……く……………な……た……た……か……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは過酷な戦いに立ち向かう少女達の人間模様でもある作品って、言いたいんだよね?でもイグッチはゆっくり過ぎて、ゆっくり変身している間に敵にやられ兼ねないから、発言は極力控えて作品を楽しく拝読してればいいからね」


 「挿絵の衣装可愛いね!アハ!」


 「そうなんだ。この作品には、挿絵や登場人物紹介があるから、ビジュアルイメージを確認しながら楽しめる。可愛らしい衣装や微笑ましい掛け合いも多くあるが、基本的はシリアスな雰囲気だからバランスが取れているんじゃないかと思う」


 「4…………1……話……リ……ザ…………ド……マン……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチのお気に入りは41話のリザードマンとの戦いなんだよね?リザードマンは見た目、イグッチの親戚みたいな物だからね」


 「イグアナさんもお気に入りのこのシーンは、僕も作中でドキドキした戦闘シーンの描写の一つだ」


 「そうだね!戦いの中に隠された人間ドラマって感じで印象に残ったよね!」


 「ねぇねぇ、友美ちゃんは誰になりたい?」


 「え?」


 「私はやっぱりピンクのアンナローグさんかな~」


 「わ……た……し……は……ア……ン……ナ……ミ……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは緑がイメージカラーのアンナミスティックさんになりたいんだよね?でもイグッチはゆっくり過ぎて、科学魔法発動途中でやられちゃうから、あくまで心の中の憧れだけに留めて、聞いてもいない余計な発言は控えてね」


 「そして、この作品で一番の特筆すべき点はこのセイヴァーと呼ばれる少女達の人物設定の深さだと思う。一人一人がそれぞれ色々な光や影を持っている。そして細い設定がされている。これだけ性格設定が細く、多くの登場人物が存在しているのにも関わらず、キャラ崩壊をしているキャラが一人もいないと言う点なんだ。しっかりと一つの人格として物語内を縦横無尽に動き回る。これは作者様の技量以外の何物でもない。勉強になった」


 「うん!誰が話しているかわからないセリフが一個も無かったね!」


 「友美ちゃん。それは、文章力が高いと言う事なんだ!」


 「あ!」


 「どうしたの?ゆかりちゃん?」


 「友美ちゃんはアンナセイヴァーに入れないね。アハ♪」


 「え?なんで?」


 「なんででしょう?ひみつ!ウフ!」


 「バ……ストがたりな……い……」


 「あ〜ハイハイ。わかったよ。イグッチはゆっくり発言しか特徴がないんだから、普通に話すのはやめてね。あと、そもそもあなた性別不詳キャラだし、イグアナは哺乳類じゃないんだからバストの概念なんかないでしょ?キャラ崩壊もほどほどにね」


 (でもイグッチが普通に話すなんて珍しいね!この作品を楽しんでいるんだね!)


 私達はその後、朝まで誰になりたいかをワイワイと話して盛り上がっていました。



 作者 敷金 様

 今回はありがとうございました!


 今回の作品はこちらからどうぞ!

https://ncode.syosetu.com/n5789hw/


 


 

 

 

 


 


 


 




 


 




 




 

 

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