第28話 ●珠邑ミト様 白玉の昊 序章 ①を読んで驚愕しちゃいました。後編

◎今回の読書会作品

 珠邑ミト 様

 白玉の昊 序章 ①

 (カクヨム)


◎今回の読書会参加者

・加納友美 

 動物と話しが出来る大学一年生。

 どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。この作品の本編「心療内科の友美さん」の作者と言う設定。

・フクロウのフクロッチ

 眼の前で猟銃に撃たれ、旦那を亡くしたフクロウ。解説役。

・タヌキのポコッチ

 野生のタヌキ。次々と死んでいってしまった赤ちゃんタヌキの最後の一匹を、人間の男の子に託した、ちょっと天然タヌキ。

・イグアナのイグッチ

 ゆっくり過ぎるイグアナ。

・元野ウサギのウサッチ

 捕食されて来たと言う、ウサギの歴史も相まって臆病な謝罪自虐ウサギ。現在は他のウサギと一緒に飼育されている。


 続きです。


 フクロッチはテーブルの上に着地して、語り始めました。

 

 「友美ちゃん。まず文章力と言うのはどう言う事かわかるかしら?」


 「え?そうだね……えっと、読みやすいとかかな?」


 「まあ、そう言うのもあるわね。そもそも文章力が高いと言うのは、注意力・表現力・語彙力・想像力・発送力・論理力・俯瞰力が総合して高い事を言うと思うの」


 「うん」


 「私が今回この作品を読んで、もちろん文章の総合力が高いのだけれど、その中でも俯瞰力が特に高いのが印象的だったわ」


 「俯瞰力?」


 「俯瞰力と言うのは、作品全体を見渡す・眺める力の事よ。そうね……私達みたいな鳥類が空から作品を見渡している感じと言えばわかりやすいかしら?」


 「なんとなくわかるよ!」


 「俯瞰力が優れている作品は、全体を通して文章に偏りや矛盾、違和感がないのよ。しかもこの作品は多数の登場人物、古典神話を彷彿とさせる様々な言葉や使い方を用いているのにも関わらず、作者様が世界観を上から眺めている様な、的確な描写が多いの。その中でも序盤9話の大陀羅と熊掌の掛け合いと語り手の描写ね。心情描写、会話のバランス、そして全体の構成。素晴らしいわ」


 「や……あ……た……さ……ん……の……に……く……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは第三話の八咫さんの憎いと言う描写の所が特に感情移入したって言いたいんだよね?でも今は9話の事について話してるから、イグッチは俯瞰力を鍛えて、全体の空気を読んで発言してね」


 「友美ちゃん。解説作品の【ミトさんでもわかった!】しらたまパーフェクトガイドブックって作者様が書いてるのに何故ミトさんでもわかった!なのかしら?」


 「えっと、それはネタだと思うよ」

 (あ〜久しぶりにポコッチの天然炸裂したよ)


 「そうだったのね。じゃあ私も【ポコッチと言う名前でも危なくない!】って宣言しようかしら?」


 「…………」


 「ごめんなさい。ガイドブック序章①の用語解説が凄いです。でも本編を読んでから、ガイドブックを読んだ方が二度楽しめます。あ、ごめんなさい。自分の意見を押し付けてしまって……ウサギ焼きにでもして下さい……」


 「…………」


 「作品の内容なんだけど、群像劇としての面白さはもちろんなんだけど、緊迫感溢れる展開が印象に残ったわ。もちろんそれも、作者様の文章力があっての事だわ」


 「そうだね!フクロッチの言うとおりだね!」


 「作品には難解な用語も登場するけど、それを感じさせない程の物語全体の面白さがあると思うわ。でもね……」


 「どうしたの?フクロッチ?」


 「私思うの。ネット小説って色々な作品があって、読書会でも取り上げて来たわよね?」


 「うん」


 「プロの方もいれば、プロを目指してる方もいる。プロを経験した方もいる。公募勢と言う言葉もあったり、私達みたいに同人活動に重きを置いてる方、趣味と割り切って投稿している方、本当に色々な作品や作家様がいるわ。私、今回の珠邑様の作品に出会って、それを改めて感じたの。なぜだかわからないけど。そしてネット小説全ての作品に魂がこもっているけど、特にこの作品には強い魂を感じたの。楽しんで書いてる様にも感じたわ。だからこの作品に出会えてホントに良かったって!」


 「そうだね!」  


 「ネット小説には、まだまだ私達の知らない、素晴らしい作品があるのね。奥深い世界だわ」


 「た……し……か……な……ち……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは、作者様の確かな知識に基づく練り込まれた設定、そして壮大かつどこか哀しくもある物語っていいたいんだよね?でも、イグッチはゆっくり過ぎて説得力がないから、感想レビューは私達に任せて、読書に集中してていいからね」


 ゆっくり発言のイグッチに辛辣なツッコミを入れる私を他所に、ポコッチはいつの間にか私の膝の上に乗って来て話し始めました。


 「友美ちゃん。違ったらごめんなさい。恐らく作者様は、例えば校正とか、文字に深く関わる様な仕事の経験があるんじゃないかしら?そう思うくらい、秀逸で重厚な文章って思ったわ。私みたいな危ないネーミングの母親とは違うわ。尊敬するわ」


 「そ、そうだね!私もそう思うよ」

 (ポコッチは鋭いのか、天然なんだかわからないよ……)


 その後、私はポコッチの背中を撫でながら、朝まで皆とこの作品を読み明かしていました。


 作者 珠邑ミト 樣 

 今回はありがとうございました。


 今回の作品はこちらからどうぞ https://kakuyomu.jp/works/16817330649431115461


 ガイドブック

https://kakuyomu.jp/works/16817330659167794875





 

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