第40話 小説家になろうを紹介しちゃいました!

 ◎今回の投稿サイト

 小説家になろう


◎今回の読書会参加者

・加納友美 

 動物と話しが出来る大学一年生。

 どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。

・灰色のミニウサギの八〇一ヤオイッチ。

 もじのイチで販売予定の同人書籍版にのみ登場する、飼い主の影響を受けて腐女子なウサギ。解説役。

・フクロウのフクロッチ

 自分の眼の前で猟銃に撃たれ、旦那を亡くしたフクロウ。以前、恋人を亡くした友美さんを大いに励ました。解説役。

 

・タヌキのポコッチ

 ちょっと天然なお母さんタヌキ。

 中学生読者の保護者の方から、ネーミングが男性のシンボルを連想させるから教育上良くないとクレームを受けた為、読書会参加を極力遠慮してもらっている。


 ※今回は誰が話しているのか明確にしてあります。


 801→ミニウサギのヤオイッチ

 袋→フクロウのフクロッチ

 ポコチ→タヌキのポコッチ

 友美→友美さん



 ガチャ


 801「男を見る時にまず何を見るかですって? そんなの、この人受けか攻め、どっちなのかに決まってるじゃない」


 袋「アハハハ!」


 801「それとね、こないだ猫さんがウチの庭に迷いこんで来たの。猫と聞くとネコが最初に頭に浮かぶ私は腐ってるかしら?」


 袋「アハハハ!」


 801「あと、人間界には男子校ってあるのよね? そんな場所、私から言わせればハッテン場ね。萌えるわ」


 袋「アハハハ!」


 友美「…………」


 私は読書会が開催される自室に入室しましたが、腐女子なウサギのヤオイッチの話に、フクロウのフクロッチが爆笑してる様子を見て絶句しています。


 801「あら、友美ちゃん。こんばんわ」


 友美「あ、こんばんわ。ヤオイッチ」


 801「今日は小説家になろうの紹介をするから、袋ウさんの他に、もう一人いるわよ。ベットの下にいるわ」


 (袋ウ?)


 私がベットの下を覗き込もうとすると、ノソノソと申し訳なさそうにタヌキが出て来ました。


 友美「えっ! またポコッチ?」


 ポコチ「友美ちゃん、ごめんなさい。私も参加は極力遠慮しようと思ったんだけど、ミニウサギさんが袋だけじゃBLは成立しないじゃない! って怒られたから……」


 友美「……」

 (あれ? 今日は小説家になろうの紹介だよね?)


 テーブルにはすでに夜食として、ヤオイッチ用はブロッコリー、ポコッチにはバナナ、フクロッチには釣餌のミミズがタッパーに入って用意してあります。

 そしてフクロッチはミミズを一匹つまんだまま話し始めました。


 袋「役者が揃った所で、私がまず説明するわね」


 友美「う、うん。お願いフクロッチ」

 ポコチ「袋さん。お願いします」


 (フクロッチだよ?)


 袋「あんまり細かい説明は不要だと思うけど、小説家になろうは現在日本の小説投稿サイトの中では作品数、登録者数共に圧倒的に多いわ。そして、書籍化、アニメ化、コミカライズなどの数も圧倒的、小説やライトノベルと言うコンテンツや他の投稿サイトに多大な影響をもたらしている、日本最大級のサイトよ」


 友美「確かにそうだね!」


 801「そうね。その膨大な作品数の為、埋もれている名作が多数あるとも言われているわね」


 ポコチ「そうなんですね……そんなメジャーなサイトなら、私なんか登場したらもっての他だわ……」


 友美「……」

 (バンバン登場してるよ? しかも前書きにあなたのビジュアル公開されてるよ……)←なろう版には同人版の表紙が掲載されています。


 801 「アハハハ! さすがにまずいでしょ! ポコッチなんて名前、アレを連想させるどころかモロ、まんまじゃない!」

 

 袋「アハハハ!」

 友美「……」

 ポコチ「……」(涙目)


 (ポコッチ……名付け親として謝るよ……ほんとにごめんね)


 袋「続けるわね。そんな小説家になろうだけど、2002年にスタートしてから色々な事があったわ」


 友美「そうだろうね……それだけ色々な作家さんいるもんね」


 袋「そうね。まずは盗作、公認以外の二次創作作品、ポイントの不正取得……」


 801「特に有名な二次創作作品の一斉大幅削除は、めだかボックス、ネギま、境界線上のホライゾン等よ。にじファンと呼ばれる、独自にガイドラインを設けて二次創作投稿を受け付けているサイトがあったけど、今はないわ」


 ポコチ「二次創作は著作権の問題だから難しいわよね……色々あったんですね」


 袋「そうよ。もちろん数多くの作品が書籍化、アニメ化されていて華やかな舞台の場でもある、小説家になろうだけど、そう言った暗い部分もあるの。別の視点では、不正や違反行為に対しての規制や処分の歴史もあるのよ」


 友美「そうなんだね……」


 801「そうよ。相互クラスター問題――要は大人数で評価を付け合ってポイントを不正に水増ししていた問題では、同時期に大量の作家に対しての垢バンも行われた事があるのよ」


 袋「高ポイントでランキングに載る事が書籍化の目安になる時代もあったから、そう言った事が行われていたのよ。この評価ポイントシステムは、その存在意義を巡っても、度々議論されている事があるわ」


 801「友美ちゃん、ポコ竿さん、私が今から話す事は、ネットで言われている事だから、信憑性は半分くらいのつもりで聞いて欲しいの。昔はランキング作品上位の書籍化への拾い上げが行われていたの。つまり上位作品と言うだけで精査せず、バンバン書籍化していった。そして、その目安が一万ポイントと言われていて、相互評価や複垢で組織的に水増しして、組織内にいた作家さんがどんどん書籍化していった……そんな事実もあったと言われているの」


 友美「……」

 ポコチ「……」


 袋「そうね。運営様も不正にポイントを水増しする外部サイト等を利用しないようにと、注意喚起を発表した事もあった様に現在も駆逐されたとは言えないの。世の中に犯罪や事件がなくならないのと同じで仕方のない事なのよ。残念だけど……でもそう言った行為を発見、監視するシステムもかなり発展してるから、現在ではかなり少ないレアケースであるとは言っておくわね」


 友美「大多数の作家様は皆さん切磋琢磨して頑張って投稿してるもんね!」


 801「もう一つ小説家になろうで起こった有名な出来事を話すわね。2018年に、昔起こった3億円事件の犯人だと自称する内容の手記を投稿したの。その作品はもちろんフィクションなんだけど、書籍化もされて、様々なプロ作家さん、評論家や専門家が意見を交わすと言う大反響を呼んだの。それはこの作品がリアリティがあり過ぎていたからよ。犯人しか知り得ないでしょ?と言う内容に思わせる描写だったの。こう言った一風変わった作品があるのも、小説家になろうならではだと思うわよ」


 ポコチ「それだけ作品数が多いと言う事なんですね……そう考えると私の危ない名前なんかは、宇宙の中の棒みたいなちっぽけな存在なんですね。安心しました。私もゴールデンポコッチとか、思い切って大胆な改名しようかしら!」


 友美「……」

 (ポコッチとフクロッチ、それにゴールデンまで増えたら……)


 袋「色々な事があるけど、なろう系と言う言葉を生み出したくらい、創作やアニメ・コミカライズに多大な影響と功績をもたらしたのも事実よ。この勢いは衰える事はなく、紛れもなく日本を代表する小説投稿サイトである事は間違いないわね」


 友美「そうだね!」


 801「因みになろう系と言うのは、これこれこういう作品――と言う明確の定義はないし、公式はみんなの為の投稿サイトを謳っていて、特定のジャンルをブランド化する事は避ける観点から、一度もなろう系と言う言葉は使用したことはないわ」


 袋「異論はあるかと思うけど、私はなろう系をこう定義してみたの。現代以外の異世界に転移又は転生した登場人物が、元の世界の知識や教養を使用する物語、又は小説家になろうから書籍化された、異世界を舞台にした冒険物語で作者様が公言してる作品の総称……もちろん例外もあるけど、概ね当てはまるのではないかしらね」


 ポコチ「なるほどですね。勉強になるわ」


 801「最後に私からいいかしら? 小説家になろうの他にも色々なサイトがあるわ。そしてそれぞれ、人気のジャンルや読者層が異なるから、自作品に適したサイトで投稿するのがいいと思うわよ。あ、因みに私が今ハマっているカップリングは、チート魔導士×ショタ風従者よ」


 友美「う、うん。わかった。似た作品見つけたら教えるね」


 ポコチ「私もこれを機に姉妹サイトのR18作品も読んでみます。そこなら規約違反にもならないで、堂々とポコッチと名乗れるかしら」


 友美「……」

 (なんの機なの?)


 801「もちろん大丈夫よ! なろう系主人公になぞらえて、ポコッチートなんて名乗ったらいいわよ。無限に勃ちまくって、ロケット発射も無制限なんてどうかしら?」


 袋「アハハハ!」


 ポコチ「わかりました!」


 友美「……」

 (順番に突っ込むね)

 (ヤオイッチ……ほんとにいい加減にしてね)

 (ポコッチ……あなたメスでしょ? 全然意味わかってないでしょ?)


 その後、私達は埋もれた名作を探す為、検索をしながらワイワイと朝まで過ごしていました。


 




 

 


 




 

 


 


 


 


 


 


 


 

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