第5話 ●野中 すず様 深爪の少女を読んでリアリティを追求しちゃいました。後編。
◎今回の読書会作品
野中 すず 様
深爪の少女(ムーンライトノベルズ)
◎今回の読書会参加者
・加納友美
動物と話しが出来る大学一年生。
どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。
・錦鯉の錦ッチ
友美さんの隣人の家の池で暮らす熱血教師キャラの錦鯉。価格20万。
・ハクビシンのハクビッチ。
同人書籍版にのみ登場する、ポジティブな野生のハクビシン。いい事探しが得意。
・フクロウのフクロッチ
目の前で銃に撃たれて旦那を亡くしたフクロウ。事故で彼氏を亡くした友美さんを大いに励ました。
※今回はR18作品です。
風俗店に関しての名称はぼかして表現してありますがご了承下さい。
「友美嬢!俺なりにこの作品のポイントを四つ挙げてみたんだ。そして、このウチの三つはしっかりと作品内で言及されている」
錦ッチは水面から顔を出し、興奮した様子で語り始めました。
その気迫に、フクロッチはカーテンレールから降りてテーブルの上に着地。ハクビッチも、夜食のイチゴをパクっと口に入れてモゴモゴしながら錦ッチの話に耳を傾けています。
(あんまり、水面から顔を出し続けて喋っちゃ駄目だよ。酸欠になっちゃうからね)
「①!何故主人公は泡の風俗店で働く事になったか?」
「この部分もリアリティあるよね!」
「そうなんだよ!男性がこう言った職業に従事している女性に対して必ず思う、この重要な所をしっかりとリアリティ鋭く描写しているから、作品に入り込む事が出来るんだ」
「そうだね!」
「②!存在感のある脇役キャラ達!」
「錦鯉さんの言う通りね!特に受付をしているおばちゃんこと、和子さんとお客様の一人でもあり、結果的に主人公をこの仕事からの卒業へ導く事になる岩木のおじさまね!」
「フクロウさん!君もそう思うか!そうだろう!そうだろう!こう言った脇役陣も、この作品にとって一人もかけてはいけない必要不可欠な存在なんだ!友美嬢もわかるだろ?おい…………ゴホッゴホッ!ゴホッゴホッゴホッゴホッ!」
「あ!錦ッチ!大丈夫?駄目だよ!水面から顔出して連続で喋っちゃ!」
「ゴホッゴホッ!いつも済まない………ここからは少しフクロウさんとハクビシンさんに解説をお願いして少し水中に戻るとしよう。ゴホッ」
(あなた20万もするんだよ?本当に無理しないでね。読書会で死人が出たら大変な事になっちゃうから……)
「ホーホー!じゃあ私が代わりに③を説明するわね」
「あ、うん。お願いフクロッチ」
「③!主人公の隠された想いね。この部分は、さっき説明した脇役キャラの岩木のおじさまの、主人公を見透かした様な、ある一言から始まる掛け合い描写のリアルでとても自然なやり取りね。ネタバレになるからあんまり詳しく話せないけど、このやり取り一つだけで脇役の岩木のおじさまの存在感を確固たる物にするの。そして物語終盤……あら、嫌だわ。私、岩木のおじさま大好きだからどうしてもネタバレしちゃいそう……」
「あら?フクロウさんは年配の方が好きだったの?おじさんフェチね。新しい発見ね!ほら!とってもいい事だわ!」
「…………」
(ハクビッチ……それは別に今いい事じゃないと思うのは私だけ?)
「よーし!復活したぞ!」
「あ、大丈夫?錦ッチ?錦ッチは声大きいから、わざわざ水面から顔を出さなくても、水中で大丈夫だからね」
「おう!よし!それでは最後のポイントだ!それは……この作品のタイトルだ!友美嬢!改めて聞くがこの作品のタイトルはなんだ?言ってみろ!おい!」
「あ、うん。えっと、深爪の少女だよね。タイトルからは内容想像出来ないけど……」
「じゃあ友美ちゃ……友美嬢ならなんて言うタイトルを付けるんだ?言ってみろ!おい!」
「…………」
(あの〜いい加減に、その友美嬢って言うのやめない?しかも友美ちゃんって言おうとして、わざわざ言い直したでしょ?)
「ホーホー!私なら主人公とお相手の女性の名前から採ってセツナと雪乃なんてどうかしら?」
「タイトル?じゃあ私は、果てしない絶頂……それって大満足ね!ほら!とってもいいタイトルだわ!」
「えっと私は……シンプルにフェアリーなんてどうかな?」
「馬鹿者!」
「うわっ!ビックリした!急に大声出さないで錦ッチ」
「全く……友美嬢はまだまだ勉強が足りない様だな。君は妖精にでもなりたいのか?」
「そうね。あなたそれでも大学生?考察と言う言葉を知らないの?」
「友美ちゃんの安易な考えは、流石の私もいい事探せないわ……グスン」
「…………」
(めんどくさいけど順番にツッコむね)
(錦ッチ……作中の店の名前にしただけだからね?)
(フクロッチ……あなたの答えたタイトルと大差なくない?)
(ハクビッチ……泣く程の事?)
「これはあくまで俺の考察だが、この作品のタイトル深爪の少女と言うのはお相手の女性である、雪乃さんの事だ度思う。店舗型風俗店に来店する男性客に対して店は必ず客の爪をチェックし、待合室等でカットしてもらう。それは女性を傷つけない様にだ。そして、深爪にして来店すると言う事は女性ならではの配慮、気配りと言う事を表現しているのではないか?この作品には、プレイ中に主人公の服を完全に脱ぐ様に促す。それはシワにならない様にだ。そしてそれは男には絶対出来ない気遣いと言う描写で表現されている。つまり、主人公セツナさんに対しての深い気配り、配慮、気遣いと言った愛情の度合いを表したタイトルなんじゃないかと…………すまん。俺もけこまでしかわからない……」
その後、私達は朝までこの作品を読見返し、最大のポイントとも言えるタイトルの意味をワイワイと話し合い考えていました。
作者 野中すず 様
今回はありがとうございました!
作品への直接リンクはR18の為、掲載出来ませんので、野中様のTwitterIDを掲載致します。皆様、こちらからぜひこの作品へどうぞ!
twitter ID @SbgsycD0M1Asswx
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