第21話 ●takemot 様 大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。を読んで何かを感じちゃいました。
◎今回の読書会作品
takemot 様
大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。 (カクヨム)
◎今回の読書会参加者
・加納友美
動物と話しが出来る大学一年生。
どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。
・ニワトリのニワッチ
カラスに恋をした、口の悪いギャル風のニワトリ。人間嫌い。
・フクロウのフクロッチ
眼の前で猟銃に撃たれ、旦那を亡くしたフクロウ。解説役。
ガチャ。
「なんなの!この魔女は!弟子さんが優しいのを良い事に、わがまま放題!ふざけんじゃないわよ!」
「…………」
私はニワッチの夜食である、トウモロコシの粉を持って自室に入室しましたが、憤慨しているニワッチを見て絶句しています。
「友美ちゃん、こんばんわ」
「あ、フクロッチ!久しぶりだね!」
フクロッチは、カーテンレールを止まり木代わりにして、首をかしげながら私とニワッチを見下ろしています。
「友美ちゃん。今日の作品は、森で子供っぽい魔女のお姉さんに助けられて、弟子になった包容力のある男の子との日常や、ちょっと不思議なほのぼのストーリーよ。掛け合いの楽しさと、情景や状況描写において、ですます調を多く用いた、丁寧で柔らかい文体の児童小説とも言える作品ね。もちろん大人も楽しめる作品よ」
「そうだね!読みやすいし、情景が目に浮かんでくる作品だね!」
「ところで今回、何故私が解説役なのかわかるかしら?」
「え?いや、わからないよ?」
「今回の作品は魔女さんが出てくるでしょ?魔女と言うのは、ヘビ・フクロウ・カラスのいずれかを召使いにすると言う迷信があるのよ」
「へ〜そうなんだね。あれ?でも魔女って黒猫と一緒にいるイメージがあるよ?」
「黒猫さんは使い魔ね。ちょっと意味あいが違うのよ。今回の主人公の男の子は、両方の役割を果たしている感じの、魔女さんにとってはかけがいのない存在なのよ」
「友美!なんでトウモロコシなんか持って来たのよ!作品に因んでシチューを持って来なさい!そして食べさせなさいよ!」
「…………」
(ニワッチ……あなたの方が格段にワガママだよ?あと、ニワッチはシチューなんか食べたら、お腹壊すよ?)
「この作品は全169話だけど、一話辺り500〜800文字くらいだから、サクッと読めるのよ。テンポはスローな印象だけど、結果的にそれが、師匠と弟子の関係性を掘り下げる描写になってて、とても印象に残る作品に仕上がっているわ」
「あら?魔女さんも、ちゃんと弟子さんを大切にしている所もあるのね。でも私は認めないわよ!」
ニワッチは黙々と一人で読み進めて、一喜一憂しています。
(とりあえず、ニワッチはなんか言うと、すぐ怒るからほっとこう……)
「ところで知ってる?魔女と言うキャラは、元々は悪役キャラなのよ」
「う〜ん。確かに色々役割が分かれるキャラだよね?」
「昔の文学作品の魔女と言うキャラは、グラグラと煮立った大きな釜で、薬を作っていたり、不幸を呼び出す為に呪ったり、悪魔的な印象だったの。中世では実際に魔女狩りなんて言うのも実際行われていたわ」
「うん……酷いよね……」
「それに加えて、現代では、ちょっと変わった個性を持つ女性を魔女と揶揄したり、あまり良い言葉ではない場合もあるの。でも、日本では独自の解釈をして文化を築き、魔女っ子と言うアニメキャラを現代日本の生活に組み込み、従来の暗いイメージを払拭させたの」
「そうなんだね」
「こんな事が……なんなのよ!魔女さんが可愛そうじゃない!国の都合で、魔女さんを利用するのは……やめなさいよ……ウワーッ!」
ニワッチの読書が第四章に差し掛かる頃、突然騒ぎながら泣き出しました。
「ニワッチ、ど、どうしたの?」
「魔女さんの過去の話よ!ひどいわ!可愛そうじゃない!どうするの!友美!」
「痛っ!」
ニワッチは魔女さんの過去の話を拝読し憤りの為、私の腕を口ばしでつついて来ました。
(ニワッチ……そんなに感情移入して、今日はどうしたの?)
「友美ちゃん、ニワトリさんが悲しむのも無理はないわ。作者様のあらすじにも書いてあるけど、この作品の最大の謎……師匠である魔女さんがなぜ子供っぽいのか?ネタバレになるから、詳しくは言及しないけど、色々な解釈が出来るわよね。ここの部分も他の章から読み解く事が出来るわよ!」
「と言う事は全体の構成がすごくいいんだね!」
「そうね。色々な意味でしっかりまとまった作品ね。私、個人的に児童小説って敵が出て来たり、宝物を探しに行ったりワクワクドキドキの大冒険も必要だと思うけど、人と人との出会いと言うのは尊くかけがいのない物……と言う出会いの大切さも必要だと思うの。こんなご時世だからこそ、メッセージ性を全面に押し出しても良いと思うわ。この作品も、そう言う出会いの重要性とそれに伴ったワクワクドキドキを描いた物語だとも思うの。一つの作品を読んで、何かを感じると言う事が児童小説には特に必須だと思うわ。だから、この作品を一人でも多くの子供達に読んでもらいたいわね!」
「そうだね!」
「友美……」
「え?ニワッチ?どうしたの?読み終わったの?」
「ええ。とっても素敵な作品だったわ……友美、ありがとう」
「え?ど、どうしたの急に?」
(ニワッチが私にお礼?珍しくない?)
「……読後感が抜群に良かったわ。この作品に出会わせてくれて、友美には本当に感謝してるわ」
「ニワッチ……」
「改めて言わせて頂戴。本当にありがとう……」
「…………」
(私もありがとう……ニワッチ)
「…………な~んて言うとでも思った?」
「え?…………痛っ!」
ニワッチは再び、口ばし攻撃をわたしの腕に浴びせました。
「この作品は本当に素敵だわ!読後感も良いわ!でも、だからってなんで友美に感謝しなきゃならないのよ!馬鹿じゃないの?アハハハ!バ〜カ!バ〜カ!」
「…………」
(騙された私がバカだったよ……)
「友美!さっさと番外編を読むわよ!そして、物語のその後を色々と妄想して一緒に楽しむわよ!もちろん朝までよ!」
「え?朝まで?」
(フフッ……一緒にって言ってくれたね。仕方ないから付き合うよ!ニワッチ!)
その後、私達は朝までこの作品について語り明かし、ニワッチとも心から笑い合いました。
作者 takemot 様
今回はありがとうございました!
今回の作品はこちらからどうぞ! https://kakuyomu.jp/works/16816927859528158073
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