第31話 ●キリン 様 髪結いの魔女を読んで百合っちゃいました!を読んで

◎今回の読書会作品

 キリン 様

 髪結いの魔女(カクヨム、小説家になろう)


◎今回の読書会参加者

・加納友美 

 動物と話しが出来る大学一年生。

 どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。

・フクロウのフクロッチ

 眼の前で猟銃に撃たれ、旦那を亡くしたフクロウ。解説役。

・タヌキのポコッチ

 野生のタヌキ。次々と死んでいってしまった赤ちゃんタヌキの最後の一匹を、人間の男の子に託した、ちょっと天然タヌキ。

・神山ゆかり

 友美さんと同じ大学に通う、元クラスメイト。ゆるふわ天然爆弾娘。


 

 ガチャ


 「え?!またポコッチ?」


 私は読書会が開催される自室に入室しましたが、中学生読者のお母様から男性のシンボルを彷彿とさせるネーミングが危ない、と言うクレームと指摘やその他諸々の大人の事情を受け、読書会を出入り禁止にしたはずのポコッチがいる事に驚愕しています。


 ポコッチはいつもの様に、ベッドの上で伏せをし、申し訳なさそうな表情でこちらを見ています。


 「友美ちゃん。ごめんなさい。遂に出入り禁止って言われたんだけど、今日の作品は百合の要素があるから、特別に参加しなさいって袋さんに言われて……」

 

 「…………」

 (袋さんじゃなくて、フクロッチね)


 「と言う訳なの。だから今日も私達、棒と袋のコンビで今回の作品を紹介するわね!」


 フクロッチはカーテンレールを止まり木にして、私達を見下ろしながら両翼を広げ、ウインクしながらキラッ!と言う表情をしています。


 「ねぇねぇ、友美ちゃん。なんでポコッチって名前は危ないの?」


 「…………」


 ゆかりちゃんは相変わらず、ブリブリしながら目を輝かせ、私に問いかけています。


 「ホーホー!ゆかりちゃんは何も知らないから私が代わりにポコッチさんが何故危ないか?説明してあげるわ」


 「…………」


 フクロッチはテーブルに着地。夜食に用意した、トリササミの生肉をつまみながら説明を始めました。


 「ゆかりちゃん。わかりやすい様に連想ゲームで説明するわ」


 「アハ!うん!いいよ!」


 「じゃあいくわね。あ、イクって言っても昇天のイクじゃないわよ?」


 「え?違うの?」


 「…………」

 (ゆかりちゃん?当たり前でしょ?)


 「じゃあ連想ゲームいくわね。今から三つ言葉を言うから、連想する答えを言ってね?棒!袋!金!」


 「受精!」


 「ブッブッ〜!答えは金の延べ棒が入った袋でした!」


 「…………」

 (もうやめよ?)


 その後、ポコッチは何故危ない?の答えになっていない、茶番の連想ゲームが10分続き、ようやく読書会は始まりました。


 二時間後。


 「じゃあ折角だから、ポコッチさんに今回の作品のあらすじを紹介して貰おうかしら?」


 「あ、はい。わかりました……この作品は……魔女である事自体が死罪であると言う、中世ヨーロッパ風の世界観の中で、田舎に住む魔女のロゼッタさんと国の第二王女であるシエルさんの、ほんのり百合要素がある友情と革命の物語です。コメディ要素とハイとロー両方の要素もあるファンタジー作品です……あ、因みにこの作品は、姉の筆頭王女と妹であるシエルさんが、王位を争い、革命を起こすと言う物語の命題がしっかりとしている作品でもあります」


 「そうね。ポコチさんの言う通りで、起承転結で言うと、起と結の部分を序盤でしっかりと描写しているから、承転を中心に描いた物語ね。昇天じゃないから勘違いしちゃ駄目よ」


 「…………」

 (えっと、重要な2箇所をツッコむね) 

 (ポコチじゃないよ。ポコッチね)

 私はスキル【ツンデレ友美さん】を自然発動。

 (べ、別に勘違いなんかしないからね!)


 「ねぇねぇ。ロゼッタさんとシエルさん、百合って言うか深い友情みたいな感じだね?一線超えてないし。キャッ!」


 「…………」

 (ゆかりちゃん……当たり前でしょ?)


 「そうね。友情と百合の境界線ギリギリの様な描写だわ。第十話でキスのシーンもあるけど、ナチュラルな掛け合いを重点に描写してるから、社交辞令の様な解釈も出来るし、それが逆にほっこりさせられる……とても上手な描写ね」


 「アハ!そうだね!よくキスで止まったよね?私だったらそのまま……キャハッ!」


 「…………」

 (ゆかりちゃん?第十話だよ?お外だよ?捕まっちゃうよ?)


 「すいません。この作品、とても読みやすいですね。どうしてでしょうか?」


 「ポンチさん。それはね、この作品は小説の基本的表現ルールをしっかりと守っているからなの。三点リーダーなどの使い方とか、文体とか、パッと見た感じ世界観を表した様で綺麗なの。文節の捻じれ表現もほとんどない。本当にしっかりとした文体でまとまっている。それが読みやすい要因ね」


 (ポンチさんはスルーしよう)

 「そうだね!内容は深いけど、本当に読みやすいよね!」


 「じゃあ、後半も読み進めるわよ……そう言えば、このお肉まだあるかしら?」


 「え?あるよ。持ってくるね!」


 更に二時間後。


 「とってもおもしろかったね!」


 「うん!そうだね!」


 「ほんとに……なんか良かったです」


 「友美ちゃんもゆかりちゃんもポチコさんも気に入ってくれた様ね。読後感もいいわね。それに印象に残る作品だわ」


 「うん!最後の選択、納得だね!」

 (フクロッチ、今ポチコって言った?)


 「アハ!この作品みたいなナチュラルな百合もいいよね〜。なんか憧れちゃうな〜」


 「一つの中編作品としては完成度が高いわね。正直ビックリしたわ」 


 「はい。私も出入り禁止になったばかりだけど、参加させてもらって本当に良かったわ」


 「じゃあこれから、袋の私と棒のポコチャさんで一緒に住むのはどうかしら?」


 「あ、はい!フクロウさん、よろしくお願い致します!」


 「…………」

 (ちょっと待って?棒と袋じゃBLじゃない?)


 「あれ〜?フクロウさんとポコチさんじゃ、物理的に無理じゃない?」


 (ゆかりちゃん……何をする前提なのかな?)


 その後、一緒に住む事になったフクロッチとポコッチの帰りを見送り、私とゆかりちゃんは一緒のベッドで眠りました。



 作者 キリン 様

 今回はありがとうございました!


 今回の作品はこちらからどうぞ!

 https://ncode.syosetu.com/n0929ig/


 


 

 




 

 

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