第30話 ●日家野二季 様 ヒト耳のチロルを読んでサーカスを知っちゃいました!

◎今回の読書会作品

 日家野二季 様

 ヒト耳のチロル(カクヨム、小説家になろう)


◎今回の読書会参加者

・加納友美 

 動物と話しが出来る大学一年生。

 どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。

・コーンスネークのヘビッチ

 やや中二病のヘビ。解説役。

・三毛猫のみけっち

 人間嫌いの地域猫。本編では壮絶な最期を迎えた。

・イグアナのイグッチ

 ゆっくり過ぎるイグアナ。

・シマリスのクパちゃん

 テンプレツンデレなシマリス。


 ガチャ


 「フシャー!友美!なんなのよ!もう読書会には来ないって言ったじゃないの!」


 「…………」

 (いや、別に私が呼んだ訳じゃないんだけどな……)


 読書会が開催される自室に入室すると、みけっちが毛を逆立てて怒りを露わにしています。


 そしてテーブルの上にはヘビッチが陣取り、トグロを巻いてリラックスした様子で、舌をチロチロと出し入れしています。


 「友美ちゃん。こんばんわ。今宵の作品は、漆黒の闇夜を無慈悲に照らしたもう、光陰の矢の様だな?」


 「あ、うん。ヘビッチこんばんわ」

 (何を言ってるのか、サッパリわからないよ……)


 「べ、別にお呼ばれしたからって、喜んでる訳じゃないんだからね!」


 「あ、クパちゃんも久しぶりだね!」


 「わ……た……し……も……ひ……さ……し……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは私も久しぶりって言いたいんだよね?イグッチは今回で3回連続の参加、しかも今回の夏休みverの読書会では、最多の参加だよね?周りに便乗した適当発言は控えて、読書を楽しんでていいからね」


 三時間後


 ヘビッチは、楽しそうな様子でウンウンと頷きながら語り始めました。


 「友美ちゃん。実は今回の読書会のメンバーは、この作品の舞台となるシルクスサーカス団のメンバーをイメージした構成で僕が招集をかけたんだ」


 「え?そうなの?」


 「まずは主人公の女の子チロルさんは、いわゆる僕っ子属性だろ?そこで僕がわざわざ足を運んだ」


 私は内心驚愕スキル【あっと驚く友美さん】を緊急発動。


 「…………」

 (えっ?!ヘビッチってメスだったの?!)


 「そして、シルクスサーカス団の花形である、バニラさんは猫の獣人だ。だからみけっちさんに来てもらった」


 「忙しいのに来てやったんだから、煮干でも持って来なさいよ!」


 「…………」

 (みけっち……あなた、全然忙しくないはずだけど?)


 「専属医のルニアンさんがネズミの獣人だが、僕達の仲間にはネズミはいない。そこで一番容姿とサイズが近いシマリスさんに来てもらった」


 「べ、別にネズミと私は同じと思ってなんかないんだからね!」


 「…………」

 (いや、違うんじゃない?)

 

 「もうここまで来ればわかるだろ?団長のギムさんは鱗があるトカゲだから、イグアナさん……と言う訳なんだ!」

 

 「だ……ん……ち……ょ……う……だ……な……ん……て」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは団長だなんて光栄です、照れちゃうって言いたいんだよね?イグッチがサーカス団立ち上げても、ゆっくり過ぎて団員面接の時点で辞退者続出だし、そもそもギムさんは二メートル近い大男でゆっくり発言でもないよ。真逆だから照れる必要もないし、仮に団長さんだとしても、発言は極力控えて、読書のみを楽しんでくれればいいからね」


 「早速だがこの作品は…………」


 「あれ?ちょっと待って?団員たりなくない?しかも、準主役と言ってもいい狼の獣人のオルトさん……」


 「友美は余計な事、言わなくていいのよ!まったく!細かい女ね!」


 「ガラガラ!シャー!」


 「あ……ハイ……」

 (怖いよ……しかも、毎回思うけど、ガラガラヘビじゃないのに…………)


 「べ、別にこの作品のシルクさんは、とっても心が強い女の子……なんだからね!」


 「そうなんだ。今、シマリスさんが言った様に、主人公のシルクさんは人間である為、自らの立ち位置を理解し、裏方としてサーカス団を支えている健気さがどこか可愛らしい感じがするんだ」


 「そうだね!可愛くて強い女の子だよね!」


 「友美なんか、可愛くないし、強くないし、猫耳じゃないしで、少しはシルクさんを見習った方がいいと思うわよ。でも本当はバニラさんを見習うべきだけどね」


 「…………」

 (いや、猫耳は見習う必要なくない?)


 「べ、別にこの作品は、獣人のみで構成されたサーカス団を舞台に、チロルさんとその仲間達の絆と成長の物語な訳じゃないんだからね!」


 「…………」

 (そこは別にツンデレで語らなくても良くない?)

  

 「そうなんだ。この作品は今シマリスさんが言った様に、サーカス団シルクスを舞台にした作品だが、物語内の差別問題にさり気なく斬り込んだ描写や、様々な出来事をきっかけにすれ違う想いや葛藤など、決して華やかなサーカスのイメージは前面に押し出す事はなく、サーカスの運営に必要不可欠な存在である裏方の様子など、しっかりと現実を描いた物語なんだ。昔テレビで放送していたアニメ、世界名作劇場風なイメージが思い浮かんだよ」


 「何よこれ!バニラさんとオルトさんにそんな過去があるなんて!可哀想じゃない!フニャ〜ッ!」


 みけっちは第二部の7と8、バニラさんとオルトさんの過去が明らかになるシーンを読んで号泣しています。


 「そうなんだ……この作品では獣人は差別され、奴隷や毛皮、牙の採取、護衛、ペットと言う様に特別に認められた一部の獣人以外は過酷な運命を生きているんだ…………こう言った人権を無視したような現実が、この作品の世界には存在する。そして、それでも獣人に憧れるチロルさん……彼女には違う世界が見えている。ここが物語の軸でもあり、基本的な世界観でもある。とても深い物語なんだ」


 「うん!そうだね!って……あれ?」


 気付くとみけっちとクパちゃんは一緒になって、真剣にこの作品を読んでいます。


 「やはり、あの二人もこの作品の楽しさと深さに気づいて、夢中になっているな」


 「そうだね。少しそっとして置こうね」


 「じ……ゅ……う……じ……ん……の……さ……べ……」


 「あ〜ハイハイ。イグッチは獣人への差別ひどいわ、でもチロルさんはしっかりと現実に向き合っている。複雑な思いを受け止めようとしている。そう言う心情描写もとてもわかりやすいって言いたいんだよね?でも、差別に関しての話はヘビッチが解説してくれたから、イグッチもしっかりと現実に向き合って、ゆっくり過ぎは極力改善してね」


 「特に心情描写の表現力、葛藤の掘り下げ、人物に対しての描写は本当にわかりやすく読みやすい。この作品の一番のアピールポイントは大人から子供まで……万人受けすると言う事だと思う。今まで読書会では、そう言った作品は少なかった。だから新鮮に感じるし、勉強になる作品だ!もちろん、作者さんも、色々な年齢層の方が読んでもわかりやすく……と言う事を念頭に置いて物語を作りあげていると思う」


 「うん!そうだね!児童小説としても通用する、幅広い層に受け入れられると思うよ!」


 「よし!じゃあ早速続きを読んで、シルクスのメンバーと一緒に、しっかりと現実を考えて行こうじゃないか!」


 「べ、別にこの作品に出会えた事を友美ちゃんに感謝してる訳じゃないんだからね!」


 「ニャ〜!そうよ!忙しいけど、参加した甲斐があったなんて思ってなんかないんだからね!」  


 (みけっち……なんであなたツンデレになってるの?あとで振り返ったら黒歴史になるよ?)

  

 その後、イグッチは読書に専念してくれましたが、皆と一緒にワイワイとこの作品について考察していました。


 作者 日家野二季 様

 今回はありがとうございました!


 今回の作品はこちらからどうぞ!

 https://kakuyomu.jp/works/16817330657234062609#reviews


 


 






 


 

 


 




 


 





 


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