第42話 ●天野蒼空 様 最終電車を読んで、愛情を取り戻しちゃいました。前編

 ◎今回の読書会作品

 天野蒼空 様

 最終電車 他(アルファポリス)


◎今回の読書会参加者

・加納友美 

 動物と話しが出来る大学一年生。

 どんな状況や作品にも、なりきりスキル発動により対応可能。

・コーンスネイクのヘビッチ。

 中二病気味の、語りだすと長い博識なヘビ。解説役。 

・カワウソのカワちゃん。

 続編「友香ちゃんのカルテ」に登場する、カワウソ。水質汚染の被害で、その生涯を終えた。死後の世界からの参加と言う設定。

・タヌキのポコッチ(今回後編から参加)

 辛い過去を持つ、お母さんタヌキ。

 ネーミングの件で、タヌッチと改名し読書会を出入り禁止になるも、その後復活。



 ガチャ

 

 「あれ? カワちゃん?!」


 私は読書会が開催される自室に入室しましたが、カワウソのカワちゃんが読書会に初参加している事に驚愕しています。

 カワちゃんはベッドの上で、夜食に用意した焼き芋を抱えながら話し始めました。


 「こんばんは友美ちゃん。今回の作品の作者様である天野様の好きな物はな〜んだ?」


 ①図書館の匂い

 ②猫のおでこの匂い

 ③給食の時に、こぼしてしまった牛乳を拭き取って、炎天下に一日放置したぞうきんの匂い


 「…………」


 「正解は①番よ! とっても落ち着くそうよ」


 そして、ヘビッチはテーブルの上で、S字フックの体制になり、舌をチロチロ出し入れしながら話しています。


 「友美ちゃん、作者の天野様は小説も書かれているが、メインはペンギン系Vチューバーとして精力的に活動されている方なんだ」


 「うん! 知ってる! たまに配信見るよ!」


 「小説の朗読配信や感想配信、主催しているミニコンテストの空色杯は11回目を迎え、読む遊園地の企画、更に文芸同人誌即売会もじのイチの公式アンバサダーにも任命されて、その活動を広げているんだ」


 「ヘビさんの言う通りね! しかもチャンネル登録者数は約1200人、1500人になったら文学フリマへの出店、10000人になったら、南極で撮影した写真集を出すそうよ」


 「え?! そうなの?!」


 「ウソよ! アハハハ!」


 「…………」

 (引っ掛かった私が馬鹿だったよ……)


 「友美ちゃん、天野様はペンギン系Vチューバーと言う事で、今回はペンギンと言う動物に関して語らせてくれないか?」


 「あ、うん。ヘビッチお願い」


 ヘビッチはS字フックの体制から、いつものトグロを巻き、リラックスした様子で更に話し始めました。


 「ペンギンと言うのは飛ぶ事が出来ないが、れっきとした鳥の仲間なんだ。クチバシがある、殻のある卵を産む、羽毛がある、肺で呼吸をするなどの理由で学術的に鳥類に分類されるんだ」


 「はい! ここでまたまた問題です!」


 カワちゃんはベッドの上から、テーブルに飛び乗り、ヘビッチの隣に陣取りました。


 「ペンギンさんがお腹が白くて、背中が黒い理由はなんでしょうか?」


 ①背中は海に潜っている時、上からの天敵に見つかりにくい。お腹は獲物や海中の天敵に対して、水面の光に紛れて見つかりにくくなる。カモフラージュの保護色的役割の為。

 ②白米と黒ゴマが好きだから

 ③パンダに憧れて


 「……えっと、①番……」


 「ピンポ〜ン! 友美ちゃんすごいわ!」


 「…………」

 (私の事、馬鹿にしてない?)


 「今の話を補足すると、ペンギンは大昔は飛んでいた事がわかっているんだ」


 「え? そうなの?」


 「ああ。だが、ペンギンが住む南半球は陸地が少なく、ほとんど天敵もいなかった。だから膨大なエネルギーを消費して飛ぶ必要がなかったんだ。海中で獲物を取る時が多くなり、進化の過程で泳ぎが発達し、飛ぶ事がなくなって現在の姿になっていったんだ。その中でもジェンツーペンギンは、鳥類の中でも最速の泳ぎを誇り、時速30キロとも言われているんだ」


 「そうなんだ……」


 「そして、この日本ではペンギンの飼育技術が特に優れていて、世界の四分の一のペンギンは日本で飼育されているデータもあるんだ」


 「確かに、ペンギンってだいたいの水族館にいるもんね」


 「はいはーい! 問題もう一問! ペンギンと言う名前の語源は大きく分けて二つあると言います。以下のうち間違ってる物はどれでしょうか?」


 ①古代の言語で白い頭を意味する「pen-guyn」が由来。

 ②ラテン語で「太った」を意味する「pinguis」に由来。

 ③天野辺銀と言う、作者様のご先祖様が由来。


 「…………」

 (カワちゃん……怒られそうな選択肢入れるのやめてね)


 「よし! じゃあ僕はこれまでに登場したペンギンのキャラを挙げて行こう!」


 「うん。え?」

 (まさかまた長い語り?)


 「ペンギンと言うのは、その愛らしい見た目から、様々な企業のマスコットキャラやアニメのキャラに存在するんだ。まずは有名なキャラのピングー、そしてディスカウントストアドンキのドンペン、サンリオキャラのバットばつ丸、電子マネーSuicaのペンギン、コウペンちゃん、ポッチャマ、ガッチャマン、すみっコぐらしのペンギン、タキシードサム、タキシード仮面、ペンペン、オーロラ、草むしり、ボルト、ペンゴ、イオタロウ、コワルスキー、ペンガ……」


 (ちょっと待って? また、関係ないの混ざってない?)

 (てか、サンリオのばつ丸ってペンギンだったの?!)


 「へ、ヘビッチ、ちょっと!」


 「なんだい?」


 「ペンギンのキャラがたくさんいるのはわかったから、天野様の作品を読もうよ!」


 「友美ちゃん! ペンギンさんって同性カップルがいるのも有名だそうよ!」


 「え? そうなの?」


 「そうよ。これは本当の話なのよ。ある動物園で、他のカップルのペンギンが放棄した卵を同性カップルのペンギンに託したら見事に育てあげたそうなのよ! すごいわ!」


 「自然界では人間に限らず、動物達の中にも同性カップルが存在する種はたくさんいるが、ペンギンはカワウソさんが話した通り有名なんだ。ある動物園では約4割が同性カップルらしいぞ。まさに酒池肉林の世界だな!」


 私はセリフ棒読みスキル『棒姫』を緊急発動。


 「そうだね。すごいね。酒池肉林だね。びっくりだね」

 (ヘビッチ……その表現、なんか生々しいからやめない?)


 その後も、路面が凍結した際には歩幅を小さくして歩く、ペンギン歩きと言うのが世界的にも推奨されている――などの、ペンギンの豆知識でカワちゃんとヘビッチは盛り上がっていました。



 後編へ続きます。

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