危惧

「最初は鷹乃神社の境内だった。最初というのは厳密には第一の事件じゃないけどな」

「一番初めに騒ぎになった事件ってことね」

 倉坂に伏見はうなづく。

「そうここだ」と地図上の鷹乃神社に画鋲を打つ。

「で、その後も正確な順番はわからないが、緑丸公園でも見つかった」

「キリンの滑り台があるところね」

「二丁目の変形五叉路、芝原団地のなか、スーパートリノの駐車場、他に覚えているか」

「だから、俺は知らないんだってば」と小川。

「すまん、そうだった」

「そうね、保育園の裏のお寺でしょ。河川敷のグラウンド、南町の有名な廃墟……」

 伏見は猫の死体が発見された場所をマッピングしていく。

「こんなもんかな、見ろ」

「見るまでもないよ。なるほど、伏見の言いたいことはわかった」

「死体の発見場所をよく見ると、うちの高校を中心とした円ができる」

「FBIもビックリだ」

「馬鹿にしてんだろ」

 あぁ、と即座に小川は認めた。

「でも、コインランドリーは遠くない?」と倉坂は疑問を呈する。

「なにごとにも例外はある」

「警戒されていることに気付いて場所を移したか、あるいは、なにかコインランドリーの近くにいく用事があったか。ま、いろいろと考えられるはな。後は模倣犯とか」

「そう、それを心配してるんだよね。こういう事件ってさ、必ず真似する馬鹿がわいてでてくんじゃん」

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