俺に言わせろ

「俺に言わせろ」

伏見が小川の顔の前に手を突き出した。やれやれ、というように肩をすくめた後、小川はどうぞと手を出した。

「犯人はうちの学校の生徒。それも女子」

 得意そうな顔で伏見は告げた。

「なぜそうなる?」と小川。

「女子高生ならお菓子を持ち歩いていても不自然じゃない」

 伏見は倉坂と倉坂が手にしているお菓子の箱を交互に指さした。

「それはわかる。でも、なんだうちの学校なんだ?」

 なにを言うのだ、という顔をして伏見は言う。

「だってそうだろ。倉坂、地図あるか」

「地図? え、スマホに入ってるでしょ」

「紙の地図がいいんだけどな」

「だったら、あれは?」

 倉坂は演劇部室に戻って、壁を指差した。小川と伏見も部室に入る。壁には学校周辺図画が貼られていた。

「これでいい。後は画鋲かなんかあればいいんだが」

 あるよ、と倉坂は机の上からプラスチックケースを取り上げて振る。なかの画鋲が揺れてガシャガシャと音をたてる。

「猫の死体が発見された場所をチェックしていこう」

 画鋲を寄こせと伏見は腕を伸ばす。倉坂は戸惑った様子で伏見の手のひらに画鋲の入ったケースを置いた。

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