雨なので明日のプールはなくなりました

「“のにりちやそかせへまもぬはねこのかねたひ”という暗号が“雨なので明日のプールはなくなりました”という意味だとする。ということは……」

 小川は“の”と“ア”を線で繋げた。

「暗号の“の”イコール“ア”というわけだ。同じ理屈で“に”は“メ”になる。つまり、こういうことだ」

 小川は“のにりちやそかせへまもぬはねこのかねたひ”と“アメナノデアシタノプールハナクナリマシタ”を一文字ずつ線で繋げていく。

「それぞれの文字に別の文字がないしは記号が割り当てられているとは、こういうことだ」

 小川の言葉に伏見は反応する。

「待て待て待て」

「なんだよ」

「成立しないだろ。二回出てくる“か”だ。最初の“か”が“シ”なのに、二番目の“か”が“リ”なのはおかしいだろ。“か”イコール“シ”なら、次の“か”も“シ”でないとおかしい。それに“か”が“シ”なら、“アメナノデアシタノプールハナクナリマシタ”に二回出てくる“シ”の部分が暗号文でも“か”でないとおかしい。なのに二番目の“シ”の部分は“た”だ」

「だから、たとえばって言っただろ。適当にでっち上げた文だから、そうなるのは当然だ。それぞれの文字に別の文字がないしは記号が割り当てられているということを説明するためにやったんだから、そうなる」

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