何作る?
「ユーリ姉ちゃん、兎の皮と内臓処理したけど、この後どうする?」
「あー、ハンノマさんなのよ!」
カーツ君とキリカちゃんが小屋の外に立つハンノマさんに気が付いたようだ。
「おう、お前たちも元気そうじゃの」
カーツ君の手には兎の形を残した肉……。うえー。
目を逸らす。
鳥の丸焼きは日本でも目にすることがあるから平気だけど、兎の形の肉……えぐい。
さばくわけでもないのに、さばかれても形が残っていると目をそらしちゃうなんて。全然ダメダメだ。
「骨を取って肉は一口サイズにカットしてもらえる?」
肉は今日は料理しないつもりだったけれど……。蜂蜜たっぷりかけたパンケーキだけでもいいかと思っていたけど……。
「ワシも何か手伝おう」
なんて言われたら……。
「ごちそうは出せませんが、それでもよろしければ夕飯をご一緒にいかがですか?」
って、言うよね。
「すまぬな。助かる」
いい包丁を売ってもらったお礼もしたいし。パンケーキだけじゃ流石にね。というか、1人増えると足りないから……。まぁ、3人でもパンケーキ一人2枚だと微妙だったんだけど。
カーツ君が尋ねた。
「骨はどうする?」
骨?兎の?
そうか、鶏ガラスープは作ったね。
あっちで、なんかの動物の骨でスープの作り方も教えたんだっけ。
骨も料理になるってカーツ君は覚えていて。兎……の骨の料理は聞いたことがないな。聞かないけど、兎骨スープとかもあるんでしょうね?
とはいえ、鶏がらスープっぽいもの作ろうと思ったら何時間も煮込まないといけないからどちらにしても作る時間はない。
「今日は使わないから、えーっと、普通に捨ててくれる?」
「ん、分かった」
ハンノマさんが首をかしげる。
「骨?何の武器にするつもりじゃ?」
武器?骨を?骨でぶったたくの?
「骨を使うのは本職じゃないが、矢じりか?釣り針か?作ってやるぞ?」
ああ、なるほど!そういう武器!
「あのね、釣り針はあるし、弓矢は使わないからいらないのよ」
キリカちゃんが答えた。
「じゃぁ、何に骨を使うんじゃ?」
料理です。って、説明すると長くなりそう。せっかく泡立てたメレンゲが……。
卵料理の続きをハンノマさんの前ではできない……。どうしよう。そうだ。
「あの、ハンノマさん、もしお手伝いしてくださると言うのでしたら、猪の解体を手伝っていただいてよろしいでしょうか?子供達だけだと大変なので」
「分かった。お安い御用だ」
と、ハンノマさんはキリカちゃんとカーツくんと肉をさばきに行った。
よし今のうち。
メレンゲと他の材料混ぜてフライパンで焼きます。ふっくらふわふわのパンケーキができるよ。
ふふふ。焼き立てを出したいところだけど、枚数焼かないといけないので仕方がない。
その間に、肉料理。どうしよう。ハンノマさんが食べるのなら、ポーション類は封印だ。
……。まだ、あったな。麻痺回避草……つまり山わさび。うん、使えそう。
よし。山わさびと蜂蜜と塩。うん。よし。
麻痺回避草を料理に使ってもハンノマさんに言い訳できるよね?普通に麻痺したときとか口に入れてるわけだから、食べられるとは分かっているわけだし。それにいまごろは火を通すと辛味が飛ぶとか王立薬研究所で研究が始まってるよね?えーっと、サーガさん経由で話を聞いて火を通してみた適なこと言えばなんとでもなるはず。
てなわけで、肉に蜂蜜。山わさびのすりおろし。焼くときに塩。塩で漬け込むと水分抜けて固くなるから仕上げにね。
パンケーキは甘いから、パンも用意した方がいいかな。こうなってくると、何も野菜がないのも寂しいね。
食糧庫から人参持ってきて塩ゆでにする。
卵黄はどうしようかな。卵黄というと、卵黄だけの卵かけごはん。ごま油と醤油バージョンとか美味しいよね。って今日はご飯はないし、卵だとばれる形状じゃだめだ。となるとカルボナーラ、プリン、……牛乳とか生クリームとの組み合わせが多い。
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ふごごごご
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