た、ま、ご、が、い、く、つ
「あったよ!2個!」
カーツ君が息を弾ませ戻ってきた。
「2個?」
え?何日か小屋を留守にしてたのに、産んでない……。
あ!ああ!
そうだ!鶏って、産んだ卵が巣にあると新たに生まないんだったっけ。だから回収しなきゃ次の産まないんだ。
養鶏団地とかは、卵を産んだらコロコロ転がって、鶏のところから勝手に卵は回収されちゃう仕組みだったよね。そういう感じにしなきゃ、何日経過しても回収できる卵の数は増えない。
キリカちゃんが私とカーツ君の顔を見る。
うん。3人で2個。
「大丈夫だよ。足りるからね?」
大丈夫。ホットケーキは、卵が必要だけど、卵でお腹を満たすわけじゃない。
確か卵1個でホットケーキ2枚分。2個あれば4枚……ううん、小さめに6枚焼けば、2枚ずつ食べられる。
もしローファスさんがいたら全然足り叶ったな。ユーリお代わり!とか次々に食べそうだ。ローファスさんがホットケーキを食べる姿を想像して笑いが漏れる。
ふふ。蜂蜜はたっぷりあるし、卵は鶏……しっぽのないコカトリスがまた産んでくれるはずだから。いつか作ってあげよう。
ローファスさんも、きっと心配してくれたよね。元気かな。
「じゃぁ、二人は兎の処理をお願いね」
「「はーい」」
二人が小屋を出て行ってから、MPポーションをまず確認。
バターで焼きたいけど、ないので何油にしようかな。ごま油はないとして、やっぱり菜種油かな。
癖が一番少ない油。
うん、それから、フライパンは大丈夫。えーっと、コンロの横に濡れふきんを用意。他の材料も準備。
あ、計りとかないから目分量なんだ。小麦粉がおよそ150~200グラム。確かホットケーキミックス小分けの1袋が200グラムだったはずだから……。それをイメージして準備する。あと、砂糖。牛乳はないから水。
さて、では泡立てましょう。
卵をボールに割入れる。立派な卵だ。Lサイズかな。
白身と黄身は分けよう。
さーて、さてさて、メレンゲ作りますよ。
泡だて器の初仕事!ちゃんとした、初仕事!
シャカシャカシャカシャカシャカシャカ。
あああ!使いやすい!
最高です!やっぱり混ぜるのは泡だて器最高!
まさか、人生で、泡だて器に感動する日が来るなんて……。
日本では当たり前にある物だから、こんな感動なんて無かったよ。
当たり前……って、当たり前じゃないんだね……。
ふわふわ。
ふわふわ。
白身の泡が増えてきて、膨らんだ。泡だて器を持ち上げると……。
「うん、ツノだ!ツノが立ってる!」
満足気に見ていたら、慌てた声がドアの外から聞こえて気が。
「角とな?一角熊でも出たか!大丈夫か!」
へ?一角熊?
振り返れば、剣を構えたドワーフの姿があった。
「ハンノマさん?」
「なんだ?角のある獣もモンスターもおらんじゃないか」
キョロキョロと小屋の中を見てハンノマさんはほっと息を吐いた。
「ああ、ツノって、その、角じゃなくて、料理の……」
卵を泡立てたときのと説明しようとして言葉を飲み込む。
卵ってこの世界の人は食べないって言ってた。それに、コカトリスの卵なんて説明できない。
卵だって知られない方がいいんだよね?
卵の殻は……見えないところにある。メレンゲは卵を知らなければ見ても分からないよね?黄身も、見えないところにある。
幸い、勝手に小屋に入れないから入り口からハンノマさんは移動していない。
「料理?」
「は、はい。夕飯の準備をしていたんです」
慌ててボールをハンノマさんの目に留まらない場所に置く。
=========
えっと、他の作品もぽちぽち更新中……なろうにないのもあるよ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます