ダイーズ+3人
叩きこむというところでお姉さんの表情がちょっとだけ怖くなった。
気のせいかな。
「できれば、S級冒険者向けにも講習してほしいんですけどね。まったくもうっ」
S級冒険者に?
あ、お姉さんの表情が、笑っているのに怖いです。
S級冒険者は国内外合わせても数名しかいないんですよね、確か。国をまたいで活躍しているため、現在どの国にどれだけのS級冒険者がいるかはギルド本部以外、王様でも知らないんですよね。そのS級冒険者を集めて講習は無理だと思うのですが。
それに、S級冒険者に講習なんて必要なのかな?
カウンターを離れると、後ろでギルドの職員さんたちが話をしていた。
「ねぇ、この村の近くにダンジョンってなかったかしら?モンスターがダンジョンから日常的に出てきて討伐が必要だとか……」
「ん?ああ、ここはいわゆる平地ダンジョンがあったはずだ」
「平地ダンジョン?それ、知らずに足を踏み入れちゃう危険なダンジョンですよね?」
「そうだ。しかもこの村の近くのは上級だったはずだ。迷い込んだらまず生きては帰って来られないだろう。C級冒険者以上でなければ入った途端に首が落ちるような場所だ」
「うわー。怖っ。じゃあ、流石に違うか……。ああ、でもそんな怖いダンジョンが近くにあるのに、村は大丈夫なんでしょうか?」
「ああ、あそこは護り人がいるから」
「護り人って、やたらと強いけれど人付き合いができないはぐれエルフの?」
F級の仮冒険者カードを持って、講習会場と言われる部屋に入る。
中には4人いた。
2人が男の子で、1人が女の子。それからもう一人は……男の子かな?
やけに綺麗な子がいた。部屋にいる全員がその子のことが気になるようでチラチラと見ている。
年齢はみな僕と同じくらいだろうか。13歳~16歳の間のようだ。
「はい。では、早速ですがテストを行います。テストの結果を見て、それぞれ必要な講習を受けてもらうことになります。受講が義務づけられているものは必ず受けてくださいね。受講料は無料です。受けなければ冒険者にはなりません。また、義務以外の講習も必要に応じて自由に受けることができます。受講料はポーション5本です」
ポーション5本?お金じゃなくて?
「聞いたことがある。その5本って、結局講習受けてる人間が使うんだって……」
「え?どういうこと?」
「剣術の講習1回受けるのに、ポーション5本は飲まなくちゃいけないくらいハードだってことだろう?」
「う……なるほど……」
後ろの席の二人がひそひそと話をしている。
そういうことか。あ、でも剣術の講習なんてものがあるんだ。受けてみようかな。弓だけでなく接近戦でも戦えるようにした方がいいってハンノマさんに言われたし。他にどんな講習があるんだろう?
僕は狩りしかしたことがない。それも弓や罠を使った狩りだ。罠にはまった獲物を棒で殴り倒すことはあったけど……剣は使ったことがない。
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