ブライス君
「あのぉ、これもおいしくなりますか?普段私たちが食べているものなのですが……他の国では動物の餌にしかならないと言われていて……」
動物のえさ?飼料?
持ってきたものに目を向ける。
あれ?これって……。
「煮たりして食べているの?」
「はい」
「皮は硬い?」
「はい。しっかり煮込んでも硬くて、味わいもあまりなくただお腹を満たすためのもので……」
ってことは、やっぱり、これはあれなのでは……?
「干してしまえば日持ちもするので便利なのですが……」
ふ、ふふ。
「塩を用意してもらえる?蓋ができるフライパン……鍋でもいいわ」
これならすぐにできる。
先ほどのラードを用意してもらったフライパンに入れ、飼料だと言われたものを入れて蓋をしてフライパンをゆする。
「このまましばらくフライパンを動かしてくれる?何があっても蓋は取らないでね?」
と、飼料を持ってきた女性に頼む。
次はどんな食べ物の相談がと思っていたら、ぱぁーとまぶしい光がシャーグの後ろに現れた。
光が収まると、地面には手紙を送るときに使った風呂敷のような魔法陣がふわりと現れ、その上には手紙ではなく……。
「なっ、一体どこから現れた!」
シャーグの護衛が警戒する。
「ユーリさんっ!」
風呂敷魔法陣の上から、ブライス君が私に向かって飛んできた。
「ブライス君」
ぎゅっと力強く抱きしめられる。
「よかった。ユーリさん……。無事で。さらわれたと聞いて……僕は……僕は……」
小刻みに震えるブライス君の背中に手を回す。
「ごめんね、心配させて……。でも、手紙にも書いたように、無事だから。カーツ君もキリカちゃんも」
ぽんぽんと優しくブライス君の背中をたたく。
「本当に……よかった。もし、ユーリさんに何かあったら……僕は魔王にでもなっていたかもしれない」
ん?ブライス君、何をいったの?僕は魔法になる?ん?
「あーブライスお兄ちゃんなの!」
「ブライス兄ちゃん来たのか!」
キリカちゃんとカーツ君がブライス君に気が付いて駆け寄ってきた。
ブライス君は、私の体をぎゅっとしてから、離れ、今度はキリカちゃんとカーツ君に腕を回した。
「二人もよかった。無事で……」
ブライス君が大切な人を抱きしめるようにキリカちゃんとカーツ君に腕を回す姿にじんわりと目頭が熱くなる。
私よりも長くキリカちゃんやカーツ君とブライス君は生活してたんだもんね。本当の家族みたいな感じなのかもしれない。そりゃ、家族が突然誘拐されたまま行方不明になっていたら心配で心配で夜も眠れないよね。
ブライス君の疲れた表情。
いっぱい心配させちゃったんだ。
心配させちゃったお詫び……いやお礼?何かしてあげたいな。
「一体どこから現れた?」
シャーグが驚いている。
「えっと、ブライス君と言ったかしら?ユーリちゃんたちの知り合いなのよね?ということは青の大陸から来たの?」
リリアンヌ様も驚いている。
「ええ。その魔法陣で」
ブライス君が風呂敷サイズ魔法陣を指さした。
「まさか、ブライス君、あなた死んでないわよね?綺麗な顔しているけれど、人形だったりしないわよね?」
リリアンヌ様の言葉に、ブライス君がちょっと引いている。
「いえ、この通り生きてますよ?」
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いいかげん、ローファスさんやブライス君も出してあげたいので、登場!
ブライス君だけになったけど。お帰りブライス君……
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