クラーケン再び?!
そうそう、グロテスクな見た目の蛸も日本とイタリア以外は食べてこなかったというし。
でも、今では世界中で蛸も食べられるようになったんだよね。
ただ、食べる習慣がないから見た目で拒否感があっても、食べておいしいと分かれば広まるのも早いってことよね。日本だって、エスカルゴは、カタツムリを食べるの?とぎょっとしてたもんね。サザエもアワビも食べる日本人が。エスカルゴはダメとかちょっと面白い話だよね。
美味しく食べられると分かれば、食べられる。
ん?
「クラーケン!」
突然叫び声をあげると、シャーグがびょんっと驚いて飛び上がり、そのままジャンピング土下座する。
「申し訳なかった、本当に、すまない、もう二度とあのような馬鹿なことはしないと誓う……!」
地面に頭をこすりつけるようにしてシャーグが土下座をし、その後ろにミギルさんたちも同じように土下座をする。
「ああ、いえ、あの、顔をあげてくださいっ!別に責めるつもりは……、その、クラーケンを皆で食べたことを思い出して……」
巨大な蛸だ。忌避される姿の蛸だけど。調理して形が分からなかったからか、緊急事態だったからか、とにかく蛸は食べた。
「うまかったなぁ!」
カーツ君が鼻の下をこすりながら満足そうな顔をする。
ふふ、そうね。蛸は美味し。蛸の唐揚げおいしかったね。たこ焼きも食べさせてあげたかったなぁ。たこ焼き用の鉄板がないけど……もしかしてハンノマさんにお願いすれば作ってもらえたかな?
ああ、でも青のりもない。鰹節は、あれはハズレ魔石だったよね。どこで手に入るんだっけ。紅ショウガもほしいなぁ。あとはソース。やっぱりお好み焼きソースがないと……。醤油味のたこ焼きでもいいけど、やっぱりソース味が恋しいな。
「へ?クラーケンを食べた?」
シャーグが頭をあげた。額に土がついている。
「おいしかった?」
ミギルも顔をあげた。額に土がついている。
「おいしいですって?今、おいしいと言いましたか?」
リリアンヌ様がカーツ君にガツガツ迫りくる。
目がぎらぎらしている。ああ、誰かを思い出す。そう、ローファスさんや甘い物の話をしたときのサーガさん……。
「ああ、うまかった。コカトリスの」
はっ。いけない。
慌ててカーツ君の口を塞ぐ。
「カーツ君、あれはあれだから、あれよ?」
コカトリスの卵小屋の話なトップシークレットだったはず。
うっかり素人がコカトリスを飼育して毒を振りまいたら大変なことになるから。
……ああ、そういうことで言えば、モンスター系をダンジョンの外で食料用に飼育するのはどれも危険なんだよね。
クラーケンだって、退治できたからいいけれど、あのまま他のモンスターを取り込んで大きくなってしまえば、倒せなくなって被害を与えてしまいかねないんだもの。
ってことは。クラーケンが食べられるという話はダメ。うん、だめだめ。
「え、えーっと、その……」
ごまかさないと。
クラーケン、蛸、エビ、カニ、イカ……えっと。
「あ、ああの、蛸、蛸って知りません?」
そういえば、シャーグにゴミだと渡されたものの中に海老の頭とかあった。魚の骨も。
ということは、海があって海産物が取れるということだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます