ぽんぽぽんぽー

「ユ、ユーリ様!」

 フライパンを任せた女性から助けを求める声が。

「あ、そうだったわ!爆裂種!」

 ブライス君から手を引き抜く。

 すると、すぐにブライス君が再び私の手を取った。

 困った。まるで引っ付き虫になった幼児のようだ。

「大丈夫だから、そのまま蓋を開けずに、フライパンをゆすっていて。音はしばらくしたらなくなるから」

 と、伝えると、より激しくポンポンポポポポポンと、はじける音が聞こえてきた。

 うんうん。成功成功。

 思った通りだ。

「ブライス君、今美味しい物ができるからね?ここで待ってて」

 もう一度手を引き抜くと、今度は後ろから抱き着かれた。

「ふふ、どうやら絡み酒みたいね。絡み方がかわいらしいけれど」

 リリアンヌ様が笑っている。

 笑ってないで助けてください。

 ……といいたいけど、ブライス君暴走すると容赦なく魔法飛ばすタイプみたいだから……。

 二度と酔っぱらわないように気を付けないと。とりあえずチョコレート禁止。あと、魔力酔いについて私はよくわからないけれどブライス君なら知ってる?ローファスさんは知ってる?ギルドに聞けば教えてもらえる?注意するように言わなくちゃ。

「なぁ、ユーリ姉ちゃん、あれ、本当に大丈夫なのか?」

 ポンポン音を立てているフライパンを心配そうにカーツ君が見ている。

 一段と激しくなった後、だんだんと静かになっていき、音がやんだ。

「火からおろしてください。蓋を開いて塩を入れてから混ぜてくだささい」

 女性がフライパンを火からおろして蓋を開けると驚いた顔をしている。

「え?これは何ですか……」

 カーツ君とキリカちゃんもフライパンをのぞいた。

「うわー、白くてふわふわしたのが入ってるのよ。お姉さん、これ、何?」

 キリカちゃんの質問に女性を傾げた。

「入れたのはあれで……これくらい少なかったはずなのに……」

「塩を混ぜたら出来上がり。やけどしないように気を付けて食べて」

 女性がまた驚いた。

「え?もう出来上がり、ですか?これ、じっくり煮ないと、とても食べられるほど柔らかくならないのに……」

 リリアンヌ様が来て、手を伸ばす。

「もう、食べてもいいのですわよね?」

 カーツ君が食べようとした手を止めて、構えた。リリアンヌ様がいつ倒れてもいいようにと。

「いただきまーすなの!」

 キリカちゃんができたてのポップコーン塩味を口の中に入れる。

「にゃっ!美味しいっ!」

 その隣でリリアンヌ様が安定の気絶と見せかけて、意識を保った。

「ふ、ふぅ。なんと不思議な……おいしさでしょう」

 リリアンヌ様が2つ3つとまとめて口に入れた瞬間、ふらりと。

「はっ、私としたことが!でも、これ、この白いものがいけないのですわ。初めて食べる味で……なんと表現したらいいのかしら?で、これは我が国でも手に入りますの?」

 リリアンヌ様に、女性が持ってきた飼料と言っていたものを見せる。


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