ダイーズチームVSローファス

「なんつぅか、ほら、連携だ。個人技だけがすごくても冒険者としてはやっていけないからな。分かるか?」

「分かりました。僕、いつも一人で狩りをしていたので、誰かと一緒に戦うことは確かにしたことがなくて……。頑張ります!」

 そうか。個人で弱くても、仲間と戦うことで何とかなることもあるんだ。

 試験官は、現時点で弱くても頑張れと言ってくれたんだよね。

 一日も早く足手まといにならないように、もっと頑張って鍛えないと。

「私も、一緒に鍛えてもらいたいです。ローファス様に」

 ん?ローファス様?様?

「あー、と、いうわけだ。3人頼んだな。じゃ。おい、お前ら二人、こい」

 試験官は男の子2人を連れて訓練所を出て行った。

「ちょっと、待て。俺はその……力加減がへたくそなの知ってるだろう……鍛えろって、何を……」

 ローファスさんが困っている。

 ブライス君はそんなローファスさんの困惑を完全に無視して話を進める。

「じゃ、ローファスさん、僕たち3人対ローファスさんということでいいですか?ローファスさんは一切の魔法禁止ということで。そうですね……」

 ローファスさんが何らかの魔法の呪文を唱えると、僕とランカさんとブライス君の胸元に、水球のようなものを出した。それからローファスさんの胸元と頭と背中にも同じものを出した。

「ローファスさんは僕たち3人の水球を割れば勝ち、僕たちはローファスさんの水球を3つとも割れば勝ちでいいですか?」

 ローファスさんが、自分に引っ付いた水球の位置を首をあっちこっちに向けたり、手で触れて確認している。

「ゲームか。それならいいぞ。んじゃあ、スタート位置は、そうだな。俺がここに立つから、お前たちはどうする?」

「では、僕はあちら、ダイーズ君はそちら、ランカさんはそちらでいいですか?」

 ブライス君の指示に頷く。ランカさんも頷いた。

 訓練場のほぼ中央にローファスさんが立ち、正面壁際にランカさん。ローファスさんの右側後方の壁際に僕。左側後方にブライス君だ。

「じゃ、3つ数えたらスタートだ。1,2,3」

 すぐにローファスさんはランカさんに向かってものすごいスピードでダッシュ。

「【土障壁】」

 ランカさんがローファスさんの攻撃を受ける寸前に土壁を作り出す。ローファスさんの剣は土壁に当たった。

「思った通り、全力でランカさんに攻撃しないと思った」

 ブライス君が氷の針を何本も出してローファスさんを攻撃する。

 ローファスさんはものすごいスピードで針を避けたり剣で落としたりしている。

 意識がブライス君に向いている。今だ。

 矢を射る。

 ローファスさんの背中の水球が割れた。

「うおう、まじかよ。あんなスピードで動いてて当てるか?普通……」

 ローファスさんの気がそがれた一瞬をついて、ブライス君が大きな水球を出した。

「げ」

 ローファスさんが後退しようとしたところに。ランカさんが土障壁を出した。

「っと」

 ローファスさんはすぐに障壁を飛んで避けようと真上に飛び上がった。

 想像通りの動きと速度に、僕が放った矢はドンピシャローファスさんの頭の水球を割った。

「ぶはっ。マジかよ」

 ローファスさんがこちらを見て、ターゲットを僕にしたようだ。まずい。

 矢を4本手にもち連続で打つも、すべてかわされた。

 割られる!そう思った瞬間目の前に土障壁が現れた。

「【氷柱】」

 氷の柱が20本ほど地面に突き刺さり、ローファスさんを取り囲む。

「おい、こりゃ防御効果付きか。くそ」

 ろふぁすさんが柱の1本を3度切りつけた。そして倒れた柱の間から飛び出そうとしたところで視界をランカさんが土障壁でふさぐ。僕が氷柱の上から下にいるローファスさんに向けて矢を放つと、すぐにローファスさんは地面を蹴って、飛び上がったところを、ブライス君が氷の針で胸元の水球も割った。

「はい。僕たちの勝ちですね」

 ブライス君がふっと笑う。



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ひゃー!ギフトありがとうございます!

カクヨムシステムに慣れていなくて「え?」「え?」と目を白黒させて驚いておりますっ。感謝です!


ローファスさんとブライス君たちの戦闘訓練、これで終わる……はずがなく!まだ続きます。

それから、ダイーズとユーリさんは口にしているわけではなく、もちろん、あれです。

ああ、あれがあればなぁ……。関係ありませんが、そのあれを昨日豚汁に入れて食べました。


 

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