ゲッソ

 足と一緒にワタを取って。軟骨取って、それから洗う。足……ゲソとワタを切り離して。

 ゲソから目とくちばしを取り除いて、それから吸盤をこそげ落とす。それから胴体の皮をむく。

 ……その様子を、食材を運んでくれた女性たちが目を皿のようにして見ている。

 もしかして料理をする人?イカの料理法を学ぼうとしてるってことかな。そうだよね。

 イカって、下ごしらえはなれないとちょっと難しいよね。

 隊長は5杯のイカを持ってきてくれてるから。2杯目のイカをさばくときに女性に声をかけた。

「一緒にやりましょう」

 すぐに女性たちは頷き、包丁など必要なものを準備した。

「タコよりはクラーケンに似てないとはいえ、気持ち悪かったり怖かったりしないですか?」

 イカを食べることになれている日本人でも、調理前のイカをさばくのは気持ち悪いとか怖いとか触りたくないと言う人はいる。

 女性の一人が小さく顔を横に振る。

「食べる物があるのに、気持ち悪いなんて言っていられません」

 もう一人が答えた。

「飢えて死ぬことより怖いことなんてありませんから」

 ……。馬鹿なことを質問した。

 私は……。頭では食べる物がなくて大変だと分かってはいても……。

 本当の大変さを分かってなかったんだ。

 例えばこのほぼ脂身の肉も、すぐに出てきたということは食べるためにとってあったんじゃないだろうか。申し訳なさそうに出してきたから、きっとそうなのだろう。

 ……日本でなら、切って食べること以外……今のようにラードの材料にしたり、細かくして脂身の少ない肉と混ぜてハンバーグにしたり、すき焼きの鉄板に塗り広げたりと……そのまま食べるようなことはしない。

「料理している間に、この国では食べない生き物や植物、まずいけれど何とか食べられる物を、並べておいてもらえませんか。私の知っていることを教えます」

 分かったとミギルさんが頷いた。

「お前たちは海に行き、なんでもいいから持ってこい。どんなに見た目が悪く、食べられそうになさそうだと思っても残らずだ。それからお前たちはまずい物を。そちらは植物を」

 あ、そうだ。

「植物は、珍しいものではなくてどこでも見かけるようなものを優先的にお願いします」

 いくら食べられると知っても、手に入りにくければ意味がない。

「承知。皆急げ!」

 ミギルさんの言葉に迅速に兵たちが動き出した。

 そして、包丁を持った女性たちは、一人1杯ずつすでにイカをがっつりつかんでいる。

 それを見て、うんと頷くと、さっそくイカのさばき方を女性たちに教え始めた。

 時間が多少かかったけれど、女性たちと一緒に5杯のイカをさばき終える。

 あとは、輪切りにしてと。

 そう、作るのは……。

「イカリング!」

 輪切りにしたイカにバッター液を付けてパン粉をまぶす。そして、脂身から出た脂をこして作ったラードもどきに投入!

 じゅばわ―と揚げ物が上がる音。

「え?え?肉の脂で煮るのですか?」

「あ、キリカ知ってる!この音はあげるっていうのよ!」

「だよな、俺もそう思う。肉の脂でも揚げられるのか!」

 女性の疑問に、キリカちゃんとカーツ君が元気に答えた。

「そう。これはラード……というの」

 豚の脂で作ったものがラードなんだけど。何の肉か分からないからまぁいいか。牛脂で作るとヘットというらしい。鶏脂だとチー油って言うんだっけ……。寒い地域ではアザラシやセイウチの脂がご馳走だっていうから他にも獣脂はいろいろあるんだろうけど。

「獣の脂を取り出すと油と同じように使えるのよ?」

 全く同じと言うわけにはいかないし、合う料理合わない料理もあるけど……。

「すげー!じゃあハズレ……あ、いや、あれがなくても唐揚げやポテトが作れるってことだよな!」

「さぁ、第一弾が揚がったわ!どうぞ」

 シャーグとリリアンヌ様とカーツ君とキリカちゃん。それから料理を覚えようとしてくれてる女性たちにまず差し出す。



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(*´ω`*)自慢じゃないけど、私はイカはさばけませんっ!

できる人は尊敬します。……イカは、冷凍ロールイカ、冷凍魚介ミックス、ボイルイカ、イカリングを買ってます。

イカをさばける人は尊敬します。つまり、私は自分の母親偉いなぁと思ってます。感謝。

ご覧いただきありがとうございます。

私は小説を書くよりも更新作業するのが苦手です。こちらはだいたい書籍1冊分更新予定です。途中更新1か月以上止まっていたら感想欄で催促してください……

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