名もアレも長くて、デカい。頬張りたい。
市内の行きつけの古本屋の床に見慣れない大きな甲虫がいた。色はやや薄い茶色。頭から前方に角が伸びているように見えた。
カブトムシの類か? でもヒメカブトともタイゴホンヅノカブトとも明らかに違う。色はむしろゾウカブトっぽいが、小さすぎるしそもそもゾウカブトは南米産だ。タイにもいるのか?
見てると本棚の隙間の下の方に入ろうとしていたので慌てて写真を撮る。手がぶれたが仕方がない。背中側になんだかゆるキャラみたいな顔が浮かんでいるが、これってもしや人面甲虫では?
https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16818093085786221158
その写真をGoogleの画像検索で調べてみれば、残念。カブトムシではなかった。
ヤシオオオサゾウムシ。
カブトムシのツノかと見誤ったのは長く伸びた口であった。たしかに形は言われてみればゾウムシである。
口も長けりゃ名前も長い。
ヤシオオオサゾウムシ。
オが三つも並んでるとヒーローの雄叫びみたいで壮観だ。字数で10文字。「ヘラクレスオオカブト」と同じく10文字である。
でもゾウムシって名前にこそゾウがあるが、どちらかと言うとごく小さい虫のイメージだ。コクゾウムシとかすごく小さい。
このヤシオオオサゾウムシの体長はが普通3cm~4cmだそうで、ワタクシが見たものも4cmくらいだ。タイの代表的なカブトムシであるヒメカブトが3.5cm〜7cmの体長というから、大きさ的にはメスのヒメカブトと互角なくらい。
ゾウムシってこんなに大きいのもいるのか! コレって世界一大きいゾウムシでは? と思って調べたが残念。世界最大のゾウムシはタイショウオサゾウムシ。体長9cm超ってヒメカブトどころかオオクワガタを余裕で超えてるやん! タイショウオサゾウムシってデカ過ぎ!
ヤシオオオサゾウムシは、ワタクシが知らないだけで実は輸入したヤシの木に紛れ込んで侵入して西日本の暖かい地域で生息しているそうだ。田舎住まいでも雪国にはおらんわなあ。 そして、外来種ながら日本最大のゾウムシ、ゾウムシ界の日本チャンピオンになっていた!
ただし、ヤシの木の生長点をかじって枯死させたり、ヤシの木の病気を媒介したりで害虫扱いだ。
ところが、ここだけの話、でもないけれど実は益虫ともいえる可能性がある。
昆虫食だ。
このヤシオオオサゾウムシの幼虫、別名サゴワームはミカンの房のように丸々と太ったイモムシだ。食用としてタイで養殖もされている。日本でも食品として売られているんだと!
サゴワームは焼いても揚げても蒸しても美味いと絶賛されていた。これは是非ともホームである熱帯の地でチャレンジせねば!
名もアレも長くて、デカい。頬張りたい。
名前と口が長くて日本で最大のゾウムシ。その非常に美味らしい幼虫が、食レポの新しいターゲットに決まったのだった。うん、美味いならお口いっぱい頬張りたい。
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