朝顔の 前から眺む ヴァン・ゴッホ

 熱帯で仕事をしてるとある種のストレスが溜まる。それは仕事に取り組む姿勢の差だ。「野球」と「ベースボール」の差以上に「仕事」という言葉と熱帯の国での仕事に相当する言葉にはニュアンスの違いがある。


 コチラでは仕事とは「仕える事」ではなくって、「集まって一緒に何かを行なう」くらいの意味だ。そこは「効率」や「合理性」よりも「楽しさ」や「満足感」が優先される世界だ。


 スケート競技に例えるならば、わたしたち日本人は合理性を追求するスピードスケートの世界に生きている。ところが、熱帯の人々は、ひたすら華やかなフィギアスケートを楽しんでいるのだ。わたしが最速でコーナーを曲がるべくタイムを削る努力しているのに、地元の人たちはただ見栄えが良い、楽しいと言う理由で、いきなり3回転半ジャンプをしたりイナバウワーをしたりと不要で無駄な動きを入れまくる。そしてコケる。全く何してくれんねん🤬


 そりゃあ良いところもある。遊び心だ。わたしはトイレなんて清潔でさえあれば殺風景が当たり前だと思っていた。だが今いる街にある、よく利用するビルの男子トイレでは「小」の方の便器に向かうと目線の先にヨーロッパの街並みの絵画のコピーが飾られている。それこそスタジオジブリの映画『魔女の宅急便』や『紅の豚』に出てきそうな街並みだ。海辺の街だったり、花屋だったり、街中のカフェだったり良い雰囲気なのだ。


 その中の一枚に見覚えのある景色があった。テレビで見たような・・・・・・そうEテレの『旅のフランス語』で常盤貴子が紹介していたカフェ・ヴァン・ゴッホのある街角だ! 画家ゴッホの『夜のカフェテラス』のモデルになったカフェが右側に顔を出している。じゃあここはフランスのアルルか。


 ここではない異国の街角にいる気分でリラックスできるのは悪くない。でも、コレでアルルの街角にワタシが本当に出現したら非常にまずい。なにしろ放尿中なのだ。ナニ丸出しでアルルの道のど真ん中で立ちションしてたら、ただの変態だ。テレポート能力がなくて本当に良かった。


 朝顔の 前から眺む ヴァン・ゴッホ


 蛇足であるが男子トイレの小便器は朝顔とも呼ばれている。





 すみません。寝落ちして、遅くなりました。近況ノートにその絵の写真を掲載しました。残念ながら、『夜のカフェテリア』ではありませんよ。

 https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16817330662235648511

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