青リンゴの 香り広がる 田鼈かな

青リンゴの 香り広がる 田鼈タガメかな


 鼈と言う字はカメの仲間のスッポンという読みと意味がある。そして田鼈はタガメとなる。だがタガメはカメの仲間ではなく、水に棲む昆虫だ。


 ⚠️嫌な予感がしたアナタ、その勘は正しい。この先は閲覧注意。ムシが苦手な方はブラウザバック推奨⚠️


 サソリのように肩肘張ったような前脚の形が特徴的だが、濃い茶色の体色といい、平たく幅広なその姿と大きさといい、どうしてもあのGを連想してしまう。


 この辺のタガメはタイワンタガメという種類で日本のタガメよりひと回り大きい勇姿を誇る。日本ではタガメもタイワンタガメも絶滅危惧種であるが、東南アジアではこのG似の虫は食用として供される。昆虫食である。


 我が家では食卓にのぼらないので機会があれば是非とも食したいと思っていたら、意外にも普段あまり行かないデパートのフードコート(クーポン食堂)の一画に見つけた。


 素揚げにしたタガメに塩を振ってあるそうだ。同行していた地元の人に一緒に食べるかと聞いたら、要らないと言われたので、一人で食する。大きく口を開けて、丸かじりしようと思ったら止められた。


 羽と脚は普通食べないのでまずはコレらをむしれと。なんだかGを解体しているような気分になる。羽と脚を毟りおわってようやく実食だ。いただきます。口の中に放り込んでバリバリ噛み砕く。


「こ、この味は!」


 カップ麺に入っている小エビを噛み砕くような食感の中から口に広がる香りは、まるでハイチュウの青リンゴ🍏味だった。これがグルメマンガであれば、背景に天使が舞ったことであろう。


 姿形がGゴキのクセに何故にフルーティー! 何故に青リンゴ! コレは今までにワタシが食してきたもろもろの昆虫食とは一線を画す。あまりにも意外な味と香りにワタシは感動した。


「よかったな。でも本当の食べ方はちょっとかじって中身だけをすするんだが」


「問題ない! 俺はエビの尻尾も食べるクチだ。ともかくこの味はオススメだあっ!」


 もし、読者の皆さまがタガメを食す機会があれば勇気を出してチャレンジして欲しい。きっとその意外な風味に感動することを保証する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る