ノーヘルは 蒸れぬ禿げぬと 義母が言い

ノーヘルは れぬ禿げぬと 義母が言い


 ハゲは遺伝的要因が強い。アンドロゲンレセプターの感度が高い男性や、5αリダクターゼが多くて活性化している男性はハゲやすい。ワタシは両親からそれらの遺伝子を受け継いで、40代目前で、前髪も後頭部も薄くなっていった。


 ある日のこと。いつものようにヘルメット⛑️を着用してバイクで出かけようとしたワタシに向かって義母が言った。


「ヘルメットかぶってるから蒸れて、まだ若いのにハゲるんじゃじゃないかねえ。ヘルメットかぶるのやめた方がいいんじゃない?」


 なんと驚くノーヘルのすすめであった。


「いやいやいや、お義母さん。ワタシのは遺伝! 人間、ハゲでは死にませんが、交通事故でアタマを打ったら死んじゃうじゃないですか!」


 今いるこの国では当然だがバイク運転時のヘルメット着用は法律で義務化されている。にも関わらず、ヘルメット着用率は半分くらいだ。


 ヘルメットを用意しても、カゴの中に入れっぱなしでかぶらない人も結構いる。こういう人は交通警官が取り締まっていそうなところを通る前に慌ててかぶって罰金を逃れるのだ。セコいぞ。


 かぶらない人の根本的な言い分は、暑い、汗臭くなる、髪型が崩れるなどといったものだ。快適さと外的な美しさの方が、頭の中身や生命の安全より優先されている。


 街中を見るとツッコミどころ満載だ。そこの親子! 三、四人乗りで全員ノーヘルってどうなのさ! お巡りさん、制帽はヘルメットじゃないからアンタも違反だぞ! 危ないぞ!


 このヘルメット着用義務にも例外がある。宗教的な理由でを巻いているイスラム教なりシーク教なりの人はヘルメット着用を免除されるのだ(インドでもそうらしい)。彼らは人前でターバンは外さないし、ターバンの上からかぶれる巨大なヘルメットも存在しないから仕方がない処置だろう。


 ということで、月光仮面もレインボーマンもタイガー・ジェット・シンも、ドラクエの主人公も勇者ヨシヒコもこっちではノーヘルでバイクに乗れるはずだ。


 上記の方々がノーヘル運転で捕まった場合、本人の場合に限り、ワタシは苦情を受け付ける。

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