分離帯 こちらスコール あちら晴れ

 夕立は馬の背を分けると言うが、スコールの場合も、雨が降っている所と降っていない所の境目が目で見てはっきりとわかる。スコールじゃなくても、熱帯では日差しが強いせいか雲の影のメリハリもきっちり見える。


 先ほど、ちょいと用足しにバイクで外へ出たら三分ほどでいきなりスコール。慌ててガソリンスタンドの屋根の下で雨宿り。少しばかり濡れてしまった。


 雨合羽はあるけど、視界も悪けりゃ路面も滑る。急ぎの用でもないので着替えるまでもなく雨宿り続行。マトモな神経をしていたら無理をしてはいけない。


 でも、世の中にはをそうでない人もいらっしゃる。パリ・ダカールラリーにバイクで参加した方と話をしたことがある。そんな冒険野郎の皆さんはマトモな神経ではなかった。


 砂漠で転倒して、左腕が明らかに折れている。そんな状態でバイクの運転ができるはずもない。だが、彼はどうしても完走したかった。そこで仲間に頼んで左手をバイクのハンドルに縛って固定してもらった。さあ、それでエンジンをスタート、バイク発進! できるかと思ったそうだが、折れた左腕でバイクの運転は無理だった。倒れてまるでネズミ花火のようにその場でくるくる回っていたそうだ。結局ヘリコプターで救助してもらって、病院に運ばれた。


 仲間のそんな話をしてくれたお兄さんも、マウンテンバイクで雨上がりの滝の傍の岩場を走るのが好きで、滑って車輪を取られる感覚がたまらないのだそうだ。もっとも、その結果滑って転んで首を痛めてもう少しで死ぬとこだったとうれしそうに言う。冒険野郎のみなさんにとっては生命の安全よりも、生命がかかったスリルの方が大事なようだ。臆病なわたしには理解できない。


 スコールに振り込められて雨宿りをしていてふと思い出したあのお兄さん。今ごろ岩場で雨が上がるのを待ってるのだろうか。


 では、ちょうど雨が上がったのでお出かけ続行です。


 スコールはってこんな感じの写真はこっちの近況ノートにて。


https://kakuyomu.jp/users/TokiYorinori/news/16817330659975572202

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