転職先は美少女だった

【あらすじ】
哲夫は電子の世界に飛び込んだ。

人を量子的にネットワーク接続するそれは、人の本質を映す鏡と表現される。
人の心をそのまま写したような。
本人が望む望まないに関わらず、あるがままの世界が構築される。

人の心を抽出して世界を観測できるのは、やはり同じ人の心だけだった。
接続者は専用の端末から、心象世界にアクセスする。
そしてそこで与えられる人格は、本人が認識する己自身の姿となる。

普段、鏡や写真に映った自分の姿。
自分自身の自己認識が、そのままの姿でアバターとして形成される。

男として生まれ、男として育った哲夫は心象世界にアクセスすることになる。
しかしこの世界で哲夫には、現実世界の姿とはまったく違う。
まさしく『美少女』と表現するのが相応しい姿が、与えられたのだった……