第21話 サラ、カレンの接客

――くっころ喫茶――



「やだ~♪ ご主人様ったら~♪」

「いや、スゴイよ! 可愛いし胸は大きいしサラちゃん最高!」

「お、俺、これにしようかな! “メイドが食べさせてくれるあまあま粗びきウィンナー”」

「お前だけズルいぞ! 俺だって――」


 最後のテーブルも大好評だった。サラが接客しているが、客達のテンションは店に入った時の縮こまった姿とは大違い。目尻を下げ、主にサラの胸にくぎづけだ。


 サラは腰にネームプレートをつけていたが、男達の視線は胸一択だった。こればかりは男のさがだから仕方無いだろう。


 サラはご機嫌に接客しているようで、怒りを溜め込んでいそうだ。短い付き合いながら、ネルにはわかるようになっていた。


 ネルは直ぐ様、少し離れたところで控えているカレンに近寄り耳打ちする。


(カレン。サラの我慢がヤバい。すまないが、客を片方もってくれ)

(だなぁ。しゃーない、行ってくる)


「ご主人様~♪ カレンもお相手させてください!」

「おお! 大歓迎だよ! 君、スタイルいいね!!」


 カレンも一昨日とは見違える程成長していた。


「お食事はどうなさいますか?」

「この“おいしくな~れのおまじない! ふわとろオムレツ”で!」

「かしこまりました~♪」


 カレンはサラと共に注文を取り終えると、ハンネスにそれを伝えに行った。その空いた隙を見計らい、ネルは客達に歩み寄った。


「お客様。当店はいかがでしょうか?」

「もう最高! サラちゃんもカレンちゃんも可愛いし!」

「だなぁ! 飯も楽しみだわ」


 好印象にネルの顔も自然とほころぶ。


「あちらのお客様にお酒をお飲み頂いているのでもしご希望であればお出しさせて頂きますがいかがでしょう?」

「ん~……、いいよ。酒飲んだらブレーキきかなくなりそうだし」

「サラちゃんに襲いかかっちゃうかもしれん!」

「ありがとうございます、ごゆっくりお楽しみくださいませ」


 頭を下げネルが戻っていくと、入れ替わるようにサラとカレンが料理を持って現れた。


「お! 待ってました!」

「サラちゃん! 早く『あ~ん♪』お願い!」


 客達は拍手までして二人を出迎える。


 サラとカレンも上手くこなしており、場に明るい笑い声が満ち満ちた。


 だが、そんな時――



「――――やめてくださいっ!!」


 シルヴィアのものと思われる悲鳴が店の奥から聞こえてくるのだった。

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