第32話 夕べはお楽しみでしたね?
――くっころ喫茶――
翌日。くっころ喫茶に集まった一同。
「ゆ、夕べはお楽しみでしたね?」
「あら、のぞいてたのかしら? 殺すわよ?」
「――ひっ! 滅相もございません! 大人しくしておりました!!」
「よろしい」
冗談を言ったジャックに、いつの間に抜いたのか、バイオレットが黒剣を首もとに突きつけた。――ジャック、本当に成長しない。朝っぱらからバイオレットに抱き付いているエレナを横目にネルはジャックを回収した。
◆
「うまっ!? うまうま!?」
「ふふ……この人、有名な料理人だったみたいよ?」
「お粗末様です」
ハンネスの作る朝食にエレナが目を輝かせながら貪るように食す。わかりやすく褒められてハンネスも嬉しそうだ。
「もう少し落ち着いて食べなさいよ、みっともない」
「ア、アリシア……仲良く、仲良くだって」
こちらは、そんなエレナをジト目で見つめるアリシアさん(貧乳認定されし者)。怒りはまだ冷めていないようだ。エミリーがまぁまぁとなだめている。
エレナはそんなアリシアなどおかまいなしに朝食を取り続け、やがて腹をさすってご満悦だ。
――なお、服がないので今はメイド服を借りて着ている。
そんなこんなしていると、店の扉が開かれた。
クルトンだった。両手に重そうに真っ赤な金属鎧などを抱えている。
「向こう岸から鎧や剣一式を取ってきたよ」
「グッジョブ!!」
「こらこら、ありがとうございますでしょ?」
――バイオレットが常識的なことをおっしゃっている。
何とも違和感のぬぐえない騒がしい朝となった。
◆
「じゃあ、会議を始めようか」
「何の話?」
朝食を取り終えるとネルが昨日の話の続きを切り出すが、エレナははてな顔だ。
「そうだね。エレナは新顔だし、改めて話をまとめてみようか」
ネルはいつの間に準備したのか、黒板のような大きい板を持ち出してチョークで書き込んでいく。デカデカと“第1回くっころ会議”と書かれている。議題は主に3つ。
①シルヴィア御嬢様防衛対応
②くっころ喫茶のアンケート結果共有、改善相談
③くっころ島の発展案の出し合い
「①から順々に相談していこうか」
少し学校じみてきた。
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