第34話 第1回くっころ会議 ②くっころ喫茶のアンケート結果共有、改善相談
――くっころ喫茶――
その後、シルヴィア防衛についてテキパキと会議は進み内容が決定した。くたびれたようにエレナが机につっぷす。そんなエレナの髪をバイオレットが優しくなでた。エレナがほおを膨らませながらバイオレットを見上げて言う。
「お姉様。あいつ何者なんですか? 私とそう歳も変わらなそうなのに、なんか頭が良すぎるっていうか……。そこのオークもおかしいですわ」
「あの二人は特別よ。異常と言ってもいいわ」
「むぅ~~~!」
「あらあら嫉妬?♪ 可愛いわねぇ」
「私だって剣じゃ負けません!」
「ふふ……そうね」
ネルとオーマイガに会って間もないエレナにとって二人が奇妙に映ってしまうのは致し方ないだろう。少し離れた所でエミリー、カレン、サラがうんうんとうなずいていた。
「じゃ、次の議題行くよ!」
ネルが手をパンパンうちならし皆の注目を集めた。
◆
『議題②くっころ喫茶のアンケート結果共有、改善相談』
「とりあえず、アンケート結果でっす!」
ネルが黒板をくるっと裏返す。どうやら回転式だったようだ。裏面も黒板になっていて、アンケート結果が既にたくさん書き込まれていた。
そう。退店前に客に紙を渡して感想や要望を記入してもらったのを会議の前にネルが板書していたのだ。
その結果は次の通り。
【感想】
・カレンちゃん最高!
・サラちゃんエロすぎ!
・メイドも料理もよかった
・エミリーちゃん萌え
・アリシアは頂くわね?
・シルヴィア嬢ちゃん、いつでも待ってるぜ!
【要望】
・メイド服の上から鎧を着て欲しかったかも
・サラちゃんのお胸にダイブしたい
・くっころさはもうちょい欲しかった、あと他のメイドも体験したい
・他の衣装も着て欲しかったり
・もっとメイドに触りたかったわね
・メイドお持ち帰りサービスがあった方がいいな
アンケート結果に当然のことながら場が騒然とする。真っ先に声を上げたのは顔を真っ赤にしたサラだ。
「セクハラ! セクハラよこんなの!!」
胸元を手で隠しながら少し涙目になっている。カレンが笑いながら肩をポンポンしてなだめている。
「ぇと……頂かれちゃうのは困る……というか……」
アリシアは遠慮がちにバイオレットの方を見て言うが、バイオレットは含み笑いで余裕顔だ。
「あら? 匿名のはずだけど」
「あ……じゃあ、ちが――」
「まぁ、私なんだけどね」
アリシアは一瞬顔を明るくするも、すぐどよんとする。バイオレットは楽しそうに口元に手を当てクスクスと笑うが、隣のエレナからしたら気に入らない。
「何が不満だってのよ! 身の程知らず!!」
「あんたくらいよ、平然と受け入れてるのは……」
アリシアがげんなりしつつそう言うとエレナがガタッと椅子から席を立つ。すかさずネルが間に入った。
「まぁまぁ。――バイオレット、アリシア個人じゃなくてお店の感想を聞きたかったんだけど……」
「あら、ごめんなさいね。でも他のもたいして変わらないじゃない」
「……おっしゃる通りで」
ネルもそれはわかっていた。ため息を吐き出すとアンケート結果の中から今後に活かせそうなものを取り上げる。
「メイド服の上から鎧……くっころさの強化……メイド指名制度……他の衣装……」
「おさわりもね?」
「それは却下。なるほど、参考になるな」
ホセのものと思われるメイドお持ち帰り案は当然のごとくスルーするネル。だが――
「お持ち帰りはおいておくにしても、宿泊施設はやっぱりあった方がいいだろうね」
拾えるところは拾っておく。
その後、アンケート結果を踏まえ、今後どうしていくべきか皆で意見を出し合いネルが板書にまとめ、しめくくる。
「ふむふむ。やはり実際に客を呼ぶと全然違うね。これからはどんどん呼び込むからみんなで頑張ろう!」
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