第42話 ギガントボア VS 銀氷
白馬に乗った女騎士は凄まじい勢いで平原を駆け抜ける。誰も止める間もなくあっと言う間にギガントボアとの距離を詰めていった。
ギガントボアも女騎士に気付いたようだ。速度を緩めるどころか、さらに加速する。そのままはね飛ばすつもりなのは誰の目にも明らかだ。
「私達に挑むつもりのようだぞ、フューリア」
フューリアと呼ばれたユニコーンが加速する。ギガントボアの巨体を実感できる程の距離で、女騎士がその身に背負う大剣を抜き払った。
それは氷のように美しい蒼白い大剣だった。冷気を辺りにまき散らしており、単なる剣でないことは一目瞭然だ。
女騎士はユニコーンで駆けながら魔法使いの様に呪文を叫ぶ。
「魔力解放。 ――咲き誇れ、フロス・グラキエース!」
女騎士が大剣を振り抜く。すると、剣先から軌跡に沿って白い塊が放たれた。それが遠くの地面に着弾すると、ギガントボアの目の前に長大な氷の壁が現れた。
構わず氷の壁に突っ込み破壊して抜けたギガントボアだったが、その先に氷の地面が広がっており、足を滑らせて横だおれになってしまう。
何が起きたか理解すらできていないギガントボアの元に、直上から何かが――いや、女騎士が降ってくる。大剣の切っ先がギガントボアの首元に突き刺さった。
響き渡るギガントボアの断末魔。ギガントボアの首元に立つ女騎士が大剣を振り抜くと、血しぶきが激しく飛び散った。
「悪く思うな。人里を襲いに来るなら止めねばならん」
女騎士が大剣の血を振り払い鞘に納刀する。
すると、遥か後方で怒号にも似た歓声が轟いた。
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