第53話
朝、ぱっちりと目が覚める。
いつもとは違う家の天井。隣を見ると花蓮がいる。
花蓮じゃなくて桜君なら心の中で文句を言わずに済んだんだけれどな。
そう思っていると花蓮ももぞもぞとして目が開く。頭が完全に起き切っていないいないのか少しだけぼぉーとしてから私の方を見て「おはようございます」そう言って部屋を出て行こうとするので、私も出ていくことにする。
洗面所に行って顔を洗う。
桜君の家ってだけでなんでも心が躍る。
このタオルは桜君が使ったことのあるものだろうと考えると思わずこっそり持って帰ろうという気持ちになってしまうけれど、どうにか自制心をフル稼働させて止める。
顔を洗い終わって、桜君のために愛情のこもったご飯を作ることにする。
今日は和食なので、お味噌汁、その他の物を分担してすることにする。
途中、別皿で私の愛情の籠った物を特別に作ろうと思ったけれど、花蓮に止められてしまい、一瞬だけ険悪な空気が漏れたけれど、持ち直して二人で作り終える。
「さて、ここからが問題です。恨みっこなしで、じゃんけんがいいでしょう」
「そうね、じゃあ」
「「じゃんけん、ぽん」」
私が出したのはグーで花蓮がチョキだったので、私が桜君を起こす役目を得ることが出来た。
嬉しさや快感で満たされるが、まだだ。
桜君の部屋に向かって一歩ずつ前へ足を進める。良からず妄想も足を進めていくたびに浮かんでくるけれど、頭から振り払って進む。
桜君の部屋の前に立って、一度だけ深呼吸をしてからゆっくりと中へ。
すると、この世の物とは思えないほどあどけない昨日最後に見た可愛らしい最高級の寝顔の桜君がいた。
胸がドキドキして、私は本当に桜君の事が大好きなんだ、愛しているんだと思えてさらに震えそうになるけれど抑え込む。その時が来るまで。
桜君にゆっくりと近づいて、じぃっと顔を覗き込む。整いすぎている美しい造形美のような顔。美しすぎて美術家たちは言葉を失うだろうそんな寝顔だ。
だけれど、ずっとみて居られはしないので「桜君」と呼び掛けてみる。
うぅっとだけ言って、起きてはくれない。
可愛い。
だけれど、心を鬼にして今度は少しだけ桜君の神聖な体を揺さぶって桜君と呼び掛けてみる。
するとさっきよりは反応があったけれど起きてはくれない。
そのまましてみるけれど起きる気配はない。
段々と起こすのが可哀そうになってきて、私も一緒に寝てしまえばいいという考えが心の中で出てき始める。
少しだけ、布団の中へ。
そう思って掛布団にてを掛けてそっと中へ体を滑り込ませていく。
完全に入り切ってそっと横を見ると美しすぎるお顔が目の前に。
幸せで胸がいっぱいだ。
私も桜君と一緒に寝てしまおう。
そう思って心の中でお休みと声を掛けてからそっと目を閉じようとすると後ろから不機嫌そうな声がかかる。
「何してるんですか」
「だって、桜君を起こすのが可哀そうになってきて」
「それは.........分かりますけれど。ですが起こさなければ。兄さんの健康を維持するためです。規則正しい生活を送ってもらわなければ」
「花蓮も入ればいいじゃない」
「.............」
花蓮も少し考え込んではぁとため息をついて「今日だけです」といって桜君を私達で挟む形で起こさないように回り込む。
シングルベッドでは狭いからくっついてしまうのも仕方ないよね?
そう思って私はそっとくっつく。
その後、お昼時まで一緒に寝てしまっていた。
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