第23話
「夕顔君って、再来週の球技大会何に出るの?」
「僕は、サッカーをやってみようかなって思ってるよ」
「そうなんだ。頑張ってね!応援してる」
「そういう、桜木さんは?」
「私は、バレーかな」
「頑張ってね」
「う、うん!!」
今日も、如月は彼女さんと一緒に食べるらしいので僕は桜木さんと一緒に食べることにした。
再来週には、球技大会がある。
運動は嫌いじゃないけれど、別に好きでもないので特に頑張る理由はないけれど、桜木さんが応援してくれるなら頑張ろうかな。
二人で一緒に他愛のない話をしつつ、ご飯を食べ終わる。
そして、午後の授業の体育になった。
如月も、僕と一緒でサッカーしたらしい。
彼女にいいところを見せるんだと張り切っている。
そしてサッカーの練習が始まってすぐに、事故が起きた。
相手チームとのボールの取り合いで、足が引っかかってしまい僕が盛大に転んでしまった。
「本当にごめん、大丈夫か?」
「あー、うん。少し痛いけれど、大丈夫」
転ばせてしまった人が、僕を立たせてくれる。
足を見ると、擦り剝いた傷から血が垂れていた。
「うわー、桜、足擦りむいてるじゃん。保健室行ってきた方がいいぞ?付き添おうか?」
「あー、大丈夫。一人で行けるから」
みんなには、サッカーを続けてもらって僕は水で洗い流してから保健室へ。
「すいません、失礼します」
保健室のドアを開けるけれど、先生はいなかった。
しょうがない、自分でするか。
「失礼します。あ、兄さん。どうしたんですか?」
「花蓮?」
保健室に入ってきたのは、花蓮だった。
「花蓮こそなんで保健室に?」
「少し体調が悪くて」
「大丈夫?つらいなら早退したほうがいいよ。今日の家事は僕がするからさ」
「いえ、そこまでではないです。少し休めば大丈夫程度のものですから。それより、兄さんは?」
「僕は、ほら、ここ」
「すごく痛そうですね。そこに座って少し待っててください」
僕の事を席に座らせて、花蓮はそのまま保健室を漁って絆創膏を見つけてくる。
「兄さん、よく洗いましたか?」
「そんな、子供じゃないんだから洗ったよ」
「そうですか」
そう言った花蓮は……僕の傷にそっとキスをして絆創膏をそっと優しく貼る。
「か、花蓮?汚いよ」
「私のキスがということですか?私、悲しいです」
「そうじゃないって分かってるよね?」
「はい、もちろん分かっています」
「はぁ......」
ニコニコと、僕の方を見てくる花蓮。
「ありがとうね。花蓮」
「い、いえ。気を付けてくださいね?兄さん」
僕が頭を撫でると、花蓮は恥ずかしそうにだけれど嬉しそうに身をよじる。
「うん。ありがと。花蓮も体調気を付けてね。ゆっくり休んで」
「はい。分かりました」
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