第55話

 私は、小さいときに両親を亡くしその両親の親友であった兄さんのお父さんに引き取られることに成った。


 私が小学の頃で四年のころでしょうか


 あれよあれよと私は故郷を離れて、異国の地へと連れられて来ました。


 異国の地、分からない言語、見たこともない物ばかり、そして両親を亡くした苦しみで私は幼いながらも、心が押しつぶされそうでどうしようもなかったのです。


 兄さんのお父さんは私を家に預けた後、二、三日でまたどこかへと行ってしまいました。


 兄さんは、私に興味津々で私に喋りかけてきてくれますが、良く分からず心が脆かったこともあり泣いてしまいます。


 すると、兄さんは慌ててどうにか泣き止んでもらおうとしたのか家にあった人形で劇を始めました。


 兄さんは頑張って喋って、劇をしてくれます。言っていることは分かりませんでしたがどんなことが起こっているのかはなんとなく分かって、私は何時しか泣き止んでいました。


 何時しか私の部屋には人形が増えていき、誕生日には大きな人形を貰いました。


 それが、兄さんと私との最初の触れ合いになり兄さんが私を初めて助けてくれた時です。このころからまだ恋心とは認識していませんでしたけれど兄さんの事が好きだったのだと思います。


 それからの数か月。段々と言葉も理解できるようになってきました。それも兄さんが私と積極的に会話をしようとしてくれたからだと思います。


 私と兄さんの中は段々と深まってきます。


 そして、私は小学校へと転入します。


 転入初日、言われていることは理解できますがまだ私は片言でしか話せないし、髪色が銀髪の外国人だったので、興味の目を向けられました。


 自己紹介が終わると、男子や女子たちが一斉にやってきて話され、まったくわからず,慌ててしまって結局何も話すことが出来なかったことは今でも覚えています。


 それからも私に話しかけようとしますが私が片言で曖昧な日本語だったため、段々と人が散っていき私は一人になっていきました。


 まだ、それなら良かったのです。家に帰れば私は兄さんと楽しく遊べていたし学校の誰かと話すことは少し怖かったので。


 ですが、段々と私が銀髪でそれに発育も良かったからか、男子に雪女だとかいろいろ言われ始めました。


 今思うと子供っぽいなと馬鹿にはできますし歯牙にもかけませんでしょうけれど小さい私にとっては指をさされ何度もそう言われることが耐えられない苦痛でした。


 女子からは男子を取られたと勝手に思われて私に嫌がらせをしてくることもありました。


 例えば、私と絶対にペアを組まなかったり、無視されることも多々ありました。


 段々と表情が暗くなっていることに気づいた兄さんは私を気にかけてくれました。

 

 私が兄さんに学校であったことを話すと、険しい顔になったので怒らせてしまったかと思い、謝ると「違うんよ、悪く無い」そう言って頭を撫でてくれました。


 兄さんは立ち上がるとお母さんと何かを話して学校へ行きました。


 その次の日からいじめはなくなり、雪女とか変なあだ名で呼ばれることもなくなりました。


 これが兄さんに二回目に助けられた時の事です。


 そして、月日が経ち私と兄さんも中学生となりました。


 中学生になると、自然と付き合うという言葉が入ってきました。


 私は発育も良く、銀髪、そして自分で言うのもなんですが可愛いからでしょう多くの人に告白されました。


 サッカー部の先輩、バレー部の人、バスケ部のイケメンとか言われている人などなど様々でしたが、私の興味の対象外でした。


 私は、兄さんしかその頃から見ていませんでしたから。


 だって、そうでしょう?


 異国の地で良く分からずに泣いている私を何度も助けてくれて一緒に居てくれた兄さんの事を好きにならないはずがないではないですか。それにあの格好良さ、私の頭を撫でてくれる時の優しさや、目つき。どれをとってもその他のちり芥と比べるまでもありません。


 逆に好きにならないならその人は頭が少々イカレテいます。


 まぁ、そんなわけで他の男に一切の興味がなかった私は告白なんて受けなかったわけですが、一部の女子たちからは顰蹙をかってしまいます。


 それはどうとでもなりました。

 

 あくまでも一部でそれに私もその頃には日本語を完璧に話せていましたし友達というものもできていましたから。


 ですが、問題だったのは私に振られた自信過剰のお猿さんたちです。


 そのお猿さんたちはバカなことに私が兄さんの妹であり、兄さんと学校でもイチィチャというかくっついていたので、面倒なことに兄さんにあたるようになったのです。


 兄さんは私に悟らせないためか何でもないような顔をされていました。


 ですが、ある日兄さんの体を偶然見てしまいました。兄さんの体にはいくつか痣のようなものがあり私は兄さんを問いただしました。


 すると出てきた答えで私は己の未熟さと馬鹿さ加減に腹が立って首を掻ききって死にたい思いでした。


 私はこんなことをした奴らを調べ上げて、学校側に直接話し、それでも罰が緩かった場合は社会的に抹殺しました。


 兄さんは私のせいでこんなことに成ったにも関わらず私を相変わらず受け入れてくれて且つ、誕生日には人形をくれました。


 その時、私は一生この人を守っていこう、養っていこう。私が兄さんを守る側になるんだ。


 こんな穢れた世界に兄さんのような天使を放ったら汚されてしまう。


 そう思いました。


 これが、私の過去。そして私の根源的なもの。


 私にとって、誕生日、そして人形はとても大切なものです。いつまでもへやに飾ってあります。


 兄さん、愛しています。

 

 守ります、養います、何でもします。だから、私から離れないで。私に隠し事なんてしないで。兄さんが辛い思い何てしなくて良い。


 私が全部しますから。


 だから、私の傍にいてくださいね?兄さん


 

 



 



 

 


 

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