第54話
「兄さん、おはようございます」
いつも通り兄さんを起こす。
今日は二人きりだ。
最近は楓が家に来くることが多かったので兄さんと二人きりというのは朝と夜くらいしかなかった。
「んぅ.....おはよう。花蓮」
眠そうな目を擦っている兄さんも可愛いです。
兄さんを起こした後は、兄さんが顔を洗っている間に朝ご飯を温めなおしておきます。
兄さんが席に着いて、「いただきます」とちゃんと言ってから食べ始めます。毎朝美味しそうに食べてくれる兄さんの笑顔だけで私は一日の生きられるエネルギーを得ます。
朝ご飯を食べ終えた後は、兄さんは自室で勉強かスマホでニュースとかゲームとかをしているのでその間に洗濯、朝食の分お皿洗い、それと勉強をします。
私はあまりゲームをしませんが、兄さんがしているものならある程度やりこみます。
一緒にするときに、より楽しめますしサポートできますから。
勉強を区切りのいいところまで終わらせてから昼食作りです。
今日は兄さんが前にパスタを食べたいと言っていたのでパスタにしましょう。
早速料理に取り掛かり、三十分程度で作り終わる。味見をしてみてもいい味なので兄さんもきっと喜んでくれるはずです。
兄さんはいつも通りの時間にリビングへとやってきてくれます。
私が呼びにいけないのは少し残念です。
二人で手を合わせていただきますをします。朝食と同じように美味しそうに食べてくれます。
「花蓮のご飯はいつも美味しいな。前に僕がパスタを食べたいって言っていたの覚えてくれたの?」
「はい」
「ありがと、花蓮。とっても美味しい」
「そうですか」
ものすごく嬉しくて思わず股が段々と濡れてきてしまいます。
やっぱり兄さんは私のことをしっかり見てくれている。最高の兄さんです。
「この日ごろのお返しは、明後日の誕生日に返すからね。絶対に」
「そうですか。楽しみにしていますね」
私の誕生日。
これは、私の中ではとても重要な日だ。
単に私が生まれたからめでたいという話ではなくて、私が兄さんをこころから信頼した日であり、この日を境に私は兄さんに溺れていった重要な日。
毎年、この日が来るたびに私は兄さんへの思いを確かめてさらに深めていっている。
兄さん、私はあなたのことをあの日、明確に好きになったのです。
心細い、一人だった私に光を与えてくれた兄さんのことが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます