第37話
さて、今日は私の人生の分水嶺になるだろう日だ。
身だしなみは...........別に夕顔君に会うわけではないのであまり気にしなくてもいいかな。
夕顔君に会うのなら頑張っておしゃれもするし、可愛くなろうってたくさん努力しちゃうんだけれどな。
さて、もういい時間だから、家から出て、待ち合わせ場所に行かないと。
お互いの家から近いカラオケ店の中に入る。もうあいつは部屋の中にいるらしい。
割り振られた部屋の中に入ると、あいつは静かに座っていた。
「あ、やっと来ましたね」
「時間はピッタリなはずなんだけれど」
「ふふっ、それもそうですね」
そう笑って、席に着くように促す。
「カラオケに来たことですし、一曲歌いますか?」
「別に歌を歌うためによんだわけではないでしょう?」
「それはそうですが、話をするためだけに借りるなんてお金がもったいないような気がしませんか?」
「それは、そうだけれど」
「まぁ、時間ももったいないのでしませんけれど」
「.............はぁ、でそれで話って何?」
早く話を進めてもらいたい。
「そうですね。では、まず質問をします」
「なに?」
「あなたは、楓は兄さんの幸せを第一に考えますか?」
「何を言ってるの?もちろんそうに決っているじゃない」
「そうですか。では質問を変えます。あなたは兄さんの事を心の底から愛していますか?他の事より、なにより自分の事より優先できますか?」
「私は夕顔君を愛している。他の何よりもねそれに夕顔君のことを自分より優先するなんてあたりまえじゃない」
「例え自分がマイナスを被ることになっても?」
「そうだよ。当り前の事」
ふむ、そう呟いてまた少し考えだす。この質問は何なんだ?
「では、本題に移ります」
そう一区切りつけてから、花蓮はそう切り出す。
「兄さんを私とあなたで独占しませんか?」
「.............は?」
何を言っているんだろう。夕顔君は私と付き合って結婚して、幸せな毎日を送るはずなのに。
「兄さんに仕事をさせてもですか?兄さんに家事をさせてもですか?」
「.............」
私の思考を読んでそういう花蓮。
「あなたは今、家に見限られている状態です。家政婦何て雇うお金なんてありもしませんし、何よりあなたは他の女が兄さんに近づくことを嫌います」
私は、夕顔君にどこにも行って欲しくはないし、愛の巣にずっといて欲しい。
だけれど、家事なんて夕顔君にしてほしくはない。
全部自分でしてあげたいくらいだ。
だけれど、その策は何もない。私には何の権力もないんだから。親を殺そうにも今は技術の発達で私ではすぐに足がついてしまうだろう。
私一人で学校の出来事のように貶めることはできないのだ。
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